韓国の中央防疫対策本部は4月12日、新型コロナウイルスによる感染症が完治し、隔離が解除された後、再び陽性判定を受けた人が計111人になったと 発表した。
付記
4月15日に133人となった。20代が30人で最も多く、50代(25人)、30代(20人)、40代(16人)、60代(15人)、80歳以上(13人)などの順。
韓国の感染者は24時間の間隔で2回のRT-PCR検査で陰性が出てから隔離解除となる。
クラスター感染が発生したテグ(大邱)市などで再陽性の報告が多かった。
再陽性の原因がウイルスの「再活性化」なのか、或いは「再感染」なのか不明で、現在調べている。
WHOもこれに注目しており、ロイターの取材に対し、「PCR検査で陰性となった数日後、再び陽性となった患者に関する報告があったことを認識している。医療専門家と緊密に連絡を取り合い、個々の症例について 、より多くの情報を得るために努力している。感染の疑いのある患者の検査でサンプルを採取する際には、適切な手順を踏むことが重要だ」と述べた。
再陽性の確認が続ていることを受け、韓国当局は感染者の「自主隔離」解除後の管理を強化する方針である。そのためにはウイルスの排出期間が最も長い大便を通じて「大便検査」の完治検査を義務化すべきとの意見もある。
体内に微量のウイルスが残る場合、何らかの原因により再活性化があり得る。
韓国以外でも再陽性となる事例が発生している。
日本の厚労省も3月10日までに、再陽性化の事例の発生を受け、退院後4週間は検温を毎日行うなどして健康管理を続けるよう求める文書をまとめている。
査読を受けていない上海の研究で、COVID-19から回復した患者175人の血液サンプルの例がある。
約1/3で低レベルの抗体があったが、抗体が全くできていない患者もいた。老人の方が若者よりも抗体のレベルが高い。
抗体ができていないことは免疫が効かないことを意味するとの懸念がでている。
WHOは4月13日、新型コロナウイルスの感染者で回復後に再び陽性になる患者が出ていることについて、回復者に免疫がついているかは不明だとの見解を示した。
免疫を持つ人が限られれば、外出制限などの解除が遅れる可能性もある。
WHOの感染症専門家、マリア・ファンケルクホーフェ氏は記者会見で、上記の中国上海市の研究から、「(回復後に)検出できるほどの抗体反応を示さなかった人もいれば、非常に高い反応を示した人もいたことが分かった」と説明した。「回復した患者からのさらなる情報が必要だ」として、データ収集と分析を急ぐ方針を示した。今のところ免疫の全体像もつかめていないといい、「抗体がどう作用するか深く理解する必要がある」とも話した。
WHOは、各国が急いで規制を緩めれば、感染が再拡大するリスクが大きいと警告する。
テドロス事務局長は「新型コロナの感染は非常に速い一方、減速のスピードはかなり遅い。規制はゆっくりと解除されなければならない」と強調した。新型コロナの致死率については、2009年に流行した新型インフルエンザより「10倍高い」と警告した。
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一般的な感染症では感染して体内に抗体ができれば2度目はかかりにくい。
もし、COVID-19の場合に免疫が効きにくいということであれば、現在のやり方を考え直す必要がある。
免疫を前提とした動き:
トランプ米大統領は4月10日、新型コロナウイルスへの免疫をもっているかを調べる抗体の検査を迅速に承認するつもりだと述べた。
抗体検査で免疫があると確認できた人から外出制限を外すなど、経済活動の早期再開をめざす考えをにじませた。
英国とオランダは当初、新型ウイルスは感染しても多くの場合、軽症であるとの理由で、人口の6割程度の人が感染し、免疫保持者となることで感染を収束させる集団免疫理論にもとづ き、対策を発表した。
ジョンソン首相は、 「英国は封じ込めではなく、ピークを遅らせ、ピークを50%に抑えることでリスクを最小化する。よって、当面、学校は閉鎖しない、イベント禁止は効果が小さいので行わない、渡航制限も追随しない 。新型ウイルスは感染しても多くの場合、軽症である。ゆえに高齢者や持病を持つ人など重症化しやすい弱者対策に集中する」との医療方針を示した。
英政府は当初、「症状が重い人のみ病院で検査」という方針を取っており、検査対象者を制限した。3月12日の段階で、集会自粛などの要請を見送った。
オランダのルッテ首相は「これからしばらくの間で、大半のオランダ人がこのウイルスに感染する。感染した人はその後ほとんど免疫を持ち、集団免疫が大きいほど、リスクの高い高齢者や健康状態のよくない弱者にウイルスが広がる確率が減る」と説明した。
その後、批判が高まり、英政府は3月16日以降、学校の一斉休校や罰則付きの外出制限など対策を強化し、集団免疫という言葉も封印した。ルッテ首相も、「集団免疫は目的ではなく、今の対策の結果、付いてくるもの」と釈明し、3人以上の集会の原則禁止など、規制強化に乗り出した。
武田薬品工業は買収したシャイアーのノウハウを活用し、新型コロナに対する治療薬を開発している。
新型コロナに感染して回復した人の血液の中にある血漿成分から、抗体を含む免疫グロブリンを抽出して精製するもので、抗体をほかの患者に投与することで、患者の免疫が活性化され、病状を軽減することが期待できる。
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