米FRB、2兆3000億ドルの緊急資金供給

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米連邦準備理事会(FRB)は4月9日、新型コロナに対処する2兆3000億ドルの緊急資金供給策を決めた。

トランプ米政権と与野党の議会指導部は3月25日未明、新型コロナウイルス対策として2兆ドル規模の景気刺激策で最終合意し、上院は3月25日夜11時、下院は3月27日、法案(Coronavirus Aid, Relief, and Economic Security Act :CARES Act)を可決、トランプ大統領が直ちに署名し、法案は成立した。

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Larry Kudlow 国家経済会議(NEC)委員長は、政府からの資金拠出を通じたFRBによる企業などへの資金供給が4兆ドルになると説明。経済対策効果は財政支出分を含め「総額で6兆ドル」と述べた。

今回のFRBの資金供給はその一環である。

内訳は以下の通り。

1) 従業員1万人以下、売上高25億ドル以下の中小企業に、民間銀行を通じて6000億ドルを融資する制度(Main Street Lending Program)の新設。

 民間銀行が融資するが、95%分はFRBが設立する特別目的事業体(Main Street facility)が買い取る。事実上、民間企業に直接資金供給する緊急措置。

 財務省はCARES Actに基づき、750億ドルをMain Street facilityに拠出する。

 融資を受ける企業は、従業員の維持、給与の支払い継続の努力が求められる。

2) 中小企業庁のPaycheck Protection Program (PPP) 強化

 中小企業が従業員に給与を支払うのを支援するためのPaycheck Protection Programについて、Paycheck Protection Program Liquidity Facilityが融資全額を担保に与信を行う。

3) 社債購入

 FRBは3月23日、金融市場の機能維持の第二弾の対策の導入を決めた。

 これに基づき、3つの特別目的会社(PMCCF、SMCCF、TALF)が8500億ドルの社債を購入する。財務省は850億ドルの与信を行う。

格付けの高い企業向けだが、対象は償還期間が最大5年の社債。FRBは一定のリスクを負うことになる。これまでは償還期間の短いコマーシャルペーパーの買い取りにとどまっていた。

4) 州や地方自治体支援のため、Municipal Liquidity Facility を設立し、最大5000億ドルの融資を行う。

 財務省はこれに350億ドルの与信を行う。

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