ジャパンディスプレイ、白山工場の生産装置の一部をアップルに売却

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ジャパンディスプレイ(JDI)は3月31日、生産装置の一部の売却について同社顧客(アップル)と最終契約を締結したと発表した。

JDIは2019年12月に下記の発表をしている。

当該顧客との間で、当社によるいちごアセットグループからの400億円以上の資金調達の実施等を条件として、
当社顧客が
取引の支払条件の緩和を行う旨、及び
当社白山工場の生産装置の購入を通じて実施する可能性も含めて、当社による当社顧客からの200百万米ドルの資金調達を実施する旨の最終契約の締結に向けて協議することで合意いたしました。

2018/12/19 ジャパンディスプレイ、いちごアセットグループからの資金調達に関する基本合意書締結

JDIは1月31日、独立系投資顧問のいちごアセットマネジメントから最大1008億円の出資を受け入れる方向で最終契約を結んだと発表した。3月13日には、100億円の追加の資金調達で基本合意、最大 1108億円となる。これに基づき、アップルと最終契約を締結した。

2020/2/3 JDI、いちごアセットマネジメントと最終契約

具体的には、白山工場内の液晶ディスプレイ生産装置 を200百万ドルで売却する。同工場は2019年7月から停止している。

売却代金200百万ドル(概算215億円)は3月31日付で、アップルからの前受金残高879億円(2月末残高)と相殺する。

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2019年末に、JDIが白山工場を Appleと シャープへ売却する方向で交渉していると報じられた。

報道を受け、JDIは12月27日に以下のコメントを発表した。

白山工場の今後の取り扱いについては、あらゆる選択肢を検討しておりますが、現時点で決まったことはありません。
なお、上記選択肢を検討するにあたり、 現在、白山工場では生産設備及びインフラ設備等の状態を総点検しておりま す。

今回、JDIは白山工場内の液晶ディスプレイ生産装置 をアップルに売却したが、「これ以外の白山工場の製造装置、白山工場の土地及び建物について、国内事業会社へ譲渡すること について 継続検討中です」としている。

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JDIは2015年3月6日、石川県白山市に第6世代(1500×1850ミリメートル)液晶新工場を建設すると発表した。月産2万5000枚の能力で、投資額は1700億円。

新工場の建設はAppleからの増産依頼によるもので、投資資金の大半はAppleからの前受け金1700億円で賄った。但し、Apple専用とせず、中国スマホメーカーなど他社へも供給する予定であった。

問題は、JDIと Apple の契約である。この前受金の契約には下記の条項がある。

・JDIは年間2億ドルまたは売上高の4%のいずれか高い金額を四半期ごとに返済する。

・JDIの現預金残高は300億円以上を維持する。

・上記2つの条項を守れなければ、Appleは、前受け金の即時全額返済、または白山工場の差し押さえを要求できる権利を持つ。

返済原資は貸し手であるAppleからの注文次第であることが問題で、Apple側の理由で注文が減ると、たちまち返済原資に行き詰まった。

本来、このような場合にはTake or Pay 条項を入れるが、この契約には入れていなかった。

今回、液晶ディスプレイ生産装置 を取り上げられたが、なお前受金は660億円程度残っており、残りも取り上げられることとなろう。

JDIは白山工場をアップルとシャープに800億~900億円で売却する交渉をしていたとされる。今回の分を除くと700億円弱となり、前受金の残高に相当する。

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なお、石川県は3月31日、白山工場の開設に伴って交付した補助金8億円の5月末までの返還を請求した。

白山工場には、2017年4月と2018年4月の2回に分けて雇用拡大関連企業立地促進補助金が2億円、創造的産業等立地促進補助金が6億円交付されている。

白山工場は昨年7月から稼働を停止しており、「補助金交付から5年以内に事業を廃止、休止した場合は返還を請求できる」とする県の交付要綱に基づき判断した。JDI側も返還の方針を示している。




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