中国 CanSino Biologicsの新型コロナウイルスワクチン、初期治験で安全性と免疫誘導確認

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中国CanSino Biologics(康希諾生物)の研究者は5月22日、医学誌 Lancetで、新型コロナウイルスワクチンの第1相臨床試験でワクチンの安全性と急速な免疫反応の誘導を確認したと発表した。

Safety, tolerability, and immunogenicity of a recombinant adenovirus type-5 vectored COVID-19 vaccine: a dose-escalation, open-label, non-randomised, first-in-human trial

CanSino Biologicsは旧称 天津康希諾生物技術有限公司で、中国を拠点し、主にヒト向けワクチン製品の研究開発、製造、および商品化に取り組む。

新型コロナウイルスワクチン(Ad5-nCoV)は、組換アデノウイルス5型をベクターとし、体内に新型コロナウイルスのスパイクタンパクの遺伝子を送り込むもの。

アデノウイルスは、呼吸器、目、腸、泌尿器などに感染症を起こす原因ウイルス 。

アデノウイルス遺伝子をHEK293(ヒト胎児腎細胞293)のゲノムに組み込むことで、組換えタンパク質を効率的に産生する。

中国メディアによると、中国軍の生物化学兵器防衛の最高責任者である陳薇少将が率いる軍事医学研究院生物工程研究(Beijing Institute of Biotechnology)の研究チームと共同で開発したという。

臨床試験は3月16日~27日に武漢市の健康な成人18-60歳の108人を対象に行なわれた。3つのグループに異なる量(5 × 1010、1 × 1011、1.55 × 1011 viral particles) を注射した。

主な副作用は、注射部位の軽度な痛みや発熱、疲労感、頭痛、筋肉痛などで、深刻な副作用は見られなかったという。

2週間でウイルス特異抗体(2週間でそれぞれ28%、31%、42%に、7週間ではそれぞれ50%、50%、75%)とT細胞の産生が見られた。

但し、ワクチンが新型コロナ感染症を予防するかどうかは一段の研究が必要としている。

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カナダの National Research Council of Canada (NRC) は5月12日、CanSino Biologicsとの新型コロナウイルスワクチンでの共同開発を発表した。

カナダ保健省は5月18日、CanSino Biologicsがこのワクチンの臨床試験をカナダのDalhousie UniversityのCanadian Centre for Vaccinology で実施することを承認した。

NRCは2013年にエボラウイルスのワクチン開発のため、CanSino BiologicsにHEK293(ヒト胎児腎細胞293)を提供した。今回のワクチンもNRCのヒト胎児腎細胞293を使っている。

但しカナダ国内では中国軍部の関与するワクチンに対する反対も見られる。

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これとは別に、CanSinoBIOは5月20日、ナノ粒子医薬品の発見、開発、製造のための革新的なソリューションのグローバルリーダーであるカナダのPrecision Nanosystems Inc.との間で、mRNA-LNPワクチンの共同開発契約を締結した。

PfizerとドイツのBioNTech のワクチンと同じ種類のものと思われる。

Precision NanosystemsのLNPデリバリーシステムとナノ医薬作製装置(NanoAssemblr®)を使うもので、Precision Nanosystemsはワクチンの開発を担当、CanSinoBIOは臨床試験や登録手続き、商業化を担当する。

承認取得後はCanSinoBioは日本を除くアジアでの販売権を持ち、Precision Nanosystemsはそれ以外での販売権を持つ。費用分担やロイヤリティも決めたが、公開されていない。


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