米TeslaのElon Musk CEOは5月11日、カリフォルニア州Alameda CountyのFremont 市のEV工場が同日から生産を再開すると明らかにした。
カリフォルニア州の Newsom 知事は3月19日、新型コロナウイルスの感染対策として、約4000万人の全住民に対し、食料の買い出しや通院など必要な場合を除き自宅にとどまるよう命じた。感染が住民の半数以上に広がる恐れがあるとして、医療体制の崩壊を防ぐため、期限を定めずに大規模な外出禁止に踏み切った。
アラメダ郡を含む周辺自治体は3月中旬から外出制限を始めた。Teslaは外出制限後もEV工場の操業を続けていたが、同郡が「Teslaは命令で定めた必要不可欠な業種ではない」との判断を示したことで3月下旬から操業停止を余儀なくされていた。CEOは外出禁止令について「ファシストだ」と強い不満を示していた。
カリフォルニア州は5月8日、新型コロナウイルス対策で3月19日に発令した外出禁止令を50日ぶりに緩和し、書店や衣料品店、生花店など一部の店舗について営業再開を許可した。
自動車産業が集積する米ミシガン州はすでに自動車関連工場の再開を認めており、GMなどの自動車大手は5月18日から段階的に生産を再開する計画を表明している。
カリフォルニア州のNewsom知事も5月8日、一部工場の操業再開を認めると表明した。
Tesla は5月9日、操業再開プロセスに着手したと明らかにした。
しかし、これに対しアラメダ郡は6月1日までテスラの工場再開を認めないことを伝えた。
州政府は市や郡などの自治体がより厳しい独自ルールを設けることを認めている。シリコンバレー周辺の自治体は、医療機関向けの防護服が不足しているなどとして5月8日以降も行動制限を続けると表明した。
TeslaのMusk CEOは5月9日 、アラメダ郡が工場再開を認めないことへの対応として、ツイッターで「Teslaは郡に対し直ちに訴訟を起こす。選出されたわけでもない無知な暫定保健担当官は州知事や米大統領、憲法の自由、そして常識に反する行動をとっている」と述べた。
Teslaは同日、工場の再開を認めなかったことを巡り、 郡の外出禁止令は行き過ぎで憲法で保障された法の下の平等にも反するなどとし、命令の停止などを求め、サンフランシスコ連邦地裁に訴訟を提起した。
またCEOは「我慢の限界だ」と述べ、カリフォルニア州パロアルト市にあるTesla本社について「テキサス州かネバダ州に即座に移転する」ともツイートした。(パロアルト市長はTeslaへの支援を表明した。)
フリーモント工場を残すかどうかも、「将来的にTeslaがどういう扱いを受けるかによる」と移転をちらつかせた。
メディアによると、フリーモント市のTeslaのEV工場では5月11日朝から従業員らが出勤を始めていた。CEOは「誰かが逮捕されるとしたら、私だけであることを願う」とも書き込んだ。
Tesla is restarting production today against Alameda County rules.
I will be on the line with everyone else.
If anyone is arrested, I ask that it only be me.
トランプ大統領は5月12日、ツイッターに「テスラの工場を再開させるべきだ。安全にすばやく再開させることができる」と投稿し、地元自治体に対して早期に再開を認めるよう促した。
California should let Tesla & Elon Musk open the plant, NOW.
It can be done Fast & Safely!
付記
アラメダ郡の公衆衛生当局は5月12日、フリーモント工場の再開に関して、Tesla と合意に達した、と発表した。Tesla が提出した感染拡大防止策を精査し、安全面でいくつかの追加の対策を施すことなどを条件に、工場再開で合意した。フリーモント工場の生産再開は、5月18日からとなる予定。
フリーモント工場は、もともとトヨタ自動車とGMの合弁会社「NUMMI」の工場であった。GMの経営破綻を機に合弁は解消され、2010年4月に操業を停止。その後、Teslaの工場になった。
同社にとって米国で唯一の完成車の組み立て拠点で、年産能力は約49万台。従業員は1万人を超える。
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