主力の液晶材料が赤字に転落した結果、営業損益、経常損益でも赤字が続く。
当期利益は4年連続の赤字で、2020年3月末の未処理損失は 1,602億円となった。
資本金は78億円で、純資産は -1,308億円となっている。
単位:億円 (配当:円) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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特別損失:
16/3 | 17/3 | 18/3 | 19/3 | 20/3 | |
水俣病補償損失 | -37 | -35 | -33 | -31 | -31 |
災害損失 | -16 | -7 | -7 | ||
事業整理損 | -20 | ||||
減損損失 | -38 | -3 | -1 | -24 |
経常損益は次の通り。
これまでの主力であった液晶材料等の機能材料部門は、2015年3月期には最高の182億円の利益を計上したが、その後、128億円、83億円、26億円に激減し、2019年に赤字に転じた。
パネルの供給過多の状況が増幅され、顧客が引き続き稼働調整したことに加え、中国液晶材料メーカーの台頭が影響したとしている。
液晶パネルから有機ELパネルに切り替わっており、今後、液晶が元に戻る可能性は少ない。
液晶材料の不振を補うような製品は見当たらず、このままでは補償金の支払いも難しくなる。
15/3 16/3 17/3 18/3 19/3 20/3 増減 機能材料
(液晶材料等)182 128 83 26 -28 -31 -3 加工品
(繊維製品、肥料、電子部品等)21 16 15 18 5 15 10 化学品
(アルコール、樹脂等)-11 17 -1 21 32 5 -27 商業事業 4 3 3 3 3 3 -0 電力 5 1 0 1 1 16 15 その他 2 1 2 2 -3 2 5 全社 -28 -28 -27 -23 -24 -23 2 合計 175 138 75 48 -14 -13 1
チッソは2011年1月に「事業再編計画」に記載した100%子会社 JNC㈱ を設立し、事業を譲渡した。
2011/1/12 チッソ、「事業再編計画」に基づく、新会社を設立
親会社のチッソは当面、子会社JNCの株式配当益で補償業務を担い、3年後をめどに株式を他者に全面譲渡し、譲渡益を熊本県に納付して補償業務を委ね、清算するという構想である。
特措法では、「救済の終了」と「市況の好転」をJNC売却の条件としている。
JNCの資本と損益の状況は次の通り(2019/3→2020/3)。現在のところは過去の蓄積分が残っている。
資本金 31,150 百万円 資本剰余金 27,149 利益剰余金 37,424 →24,745 株主資本合計 95,723→83,045
将来、チッソがJNCを売却して、譲渡益で補償を終える計画であるが、JNCの赤字が続くと、その構想も実現が難しくなる。
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