民主党の14議員が反対、共和党の1議員が賛成した。
上院で多数を占める共和党は上院では即否決するとしており、同案そのままでの成立は不可能である。
トランプ政権と共和党は大型減税などを軸に対案の検討に入っている。
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トランプ米政権と与野党の議会指導部は4月21日、4840億ドルの新型コロナウイルス対策で最終合意した。第3弾の対策の補充で、COVID-19 3.5 relief packageと呼んでいる。
上院は関連法案(Paycheck Protection Program and Health Care Enhancement Act )を同日可決 、下院も4月23日に可決し、大統領に送った。
これまでの3回の経済対策と合わせ、財政出動は2兆8千億ドルになる。
大統領は、この後すぐに『経済対策第4弾』の議論に入るつもりだと表明した。「地方でのインフラ投資や給与税の減税など、次策の議論を開始する」と述べた。
2020/4/24 米国で4800億ドルの3.5次対策で合意、更に第4次対策を検討
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第4弾については、民主党と共和党で異なっている。
民主党のペロシ下院議長は12日、連邦議会で「3300万人が既に失業保険を申請し、過去に例のない大災害となった。必要な資金を届けるために、追加の行動が必要だ」などとする声明を発表した。
主な内容:
・ 州や地方政府にCOVID-19対応に従事する人への支払い用に1兆ドル
・ 医療従事者らに総額2000億ドルの特別手当( essential worker hazard pay)も支給
・ COVID-19対策(テスト、追跡、隔離)に750億ドル
・ 家計へは1人あたり最大1200ドル(家族に最高6000ドル)の給付
・ 中小企業向け緊急助成金に100億ドル
・ 郵政公社向け支援に250億ドル
・ 連邦政府による失業給付上乗せの延長
ホワイトハウスと共和党は、民主党案に異論を唱えている。
財政難の州・地方政府はニューヨークやカリフォルニアなど民主党が地盤の地域が多いことから、州・地方への支援については反対する。
共和党の上院トップ、Mitch McConnell 院内総務は4月に、新型コロナの対応で財政が悪化している州について「財政破綻を容認する」と発言。同氏は「ブルーステート(民主党州)の救済を阻止する」と宣言している。
トランプ大統領は雇用効果の大きいインフラ投資や、労使が負担する基幹税である「給与税」の減税を考えている。
McConnell 院内総務は、新型コロナによって企業や学校、政府機関に対して巨額の賠償請求が起きかねないことから、「訴訟の免責条項を第4弾には盛り込む」と話す。
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下院は5月15日、新型コロナウイルスの影響で議会運営が停滞するのを避けるため、「遠隔投票」を可能とする規則変更の決議案を賛成多数で可決した。
新型コロナに対応するための暫定的な規則変更で、議場にいる別の議員に代理で投票してもらう形を取る。1人の議員に最多で10人分の代理投票を容認する。遠隔地からの電子投票が技術的に可能になれば、導入を検討する。
与党・共和党からは、代理投票の合憲性を疑う声が上がった。
民主党のマクガバン規則委員長は採決に先立ち「下院は法律を制定し続けなければならない。そして、我々の安全が確保されるような方法でなされなければならない」と語り、規則変更の正当性を訴えた。
賛成は217票、反対は189票で、共和党の議員は全員が反対した。
上院では、委員会の公聴会で議員や証言者が自宅などから遠隔参加することを認めているが、「遠隔投票」については、容認しない方向。
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