米商務省の産業安全保障局 (Bureau of Industry and Security ) は5月15日、Entity Listによる華為技術(Huawei)に対する輸出禁止措置を強化すると発表した。
米国に由来する技術を使った半導体は、外国製でも同社への輸出ができなくなる。
Huaweiはもちろん、Huawei傘下の半導体メーカーHiSilicon向けに半導体を供給する台湾の台湾積体電路製造(TSMC:Taiwan Semiconductor Manufacturing Co.)にも影響を与える。
付記 これを受け、台湾積体電路製造(TSMC)はHuaweiからの新規受注を止めた。
人民日報系の環球時報は同日、中国政府が対抗措置を講じる準備をしていると報じた。 Appleなど米企業を「信頼できない事業体リスト」に登録し、事業を制限することを検討しているという。
トランプ大統領は2019年5月15日、米国の安全保障にとってリスクのある外国企業の通信機器を米企業が使うことを禁止する大統領令に署名した。
トランプ大統領は2020年5月13日、この大統領令の効力を1年間延長した。
米商務省は同日、華為技術(Huawei)に対する米国製ハイテク部品などの事実上の禁輸措置を発表した。
輸出管理法に基づき安保上懸念がある企業を列挙したEntity List (規則 744.11(b) )にHuawei と子会社を追加した。
同社が制裁対象のイランとの金融取引に関わったと指摘している。
今後、日本企業を含む企業が米国のハイテク製品や技術を同社に輸出する場合は商務省の許可が必要になり、原則却下される。
「再輸出」の規制は米国の国内法を海外の国にも適用する「域外規制」であり、もし、日本企業がこれに違反し、米国品を再輸出した場合には、罰金、禁固、取引禁止顧客としての指定、米国政府調達からの除外等が課せられ、そのため実質的に米国との取引が以後出来なくなる事態が生じる。
「域外規制」では、イラン、北朝鮮、シリア、スーダン向け輸出については米国品が10%以上、それ以外の国への輸出の場合は米国品が25%以上含まれておれば、再輸出となり、規制対象となる。
日本企業は11社がHuaweiに対し電子部品やカメラなどを供給している。
2019/5/16 米国、Huawei を対象に2施策
これには「抜け穴」(米商務省)があった。
Huaweiは半導体生産の多くをTSMCに委託しており、これは対象になっていない。
今回の禁輸強化は半導体製造装置などで米国由来の技術を使うTSMCなどからの輸出を封じる狙いがある。
下記の条項が追加された。
チップセットのような製品で、米国以外にある規制対象の半導体製造装置で、Huawei 及びHiSiliconなど子会社の設計仕様書でつくられた製品
これにより、米国に由来する技術を使った半導体は、外国製でも同社への輸出ができなくなる。
なお、経過措置として下記が認められた。
5月15日時点でHuaweiの仕様書で生産を開始したウエハーについては、今後120日以内に出荷された場合は適用除外とする。チップセットは5月15日までに生産が完了しているもののみ、出荷が認められる。
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なお、2019年5月のEntity List 指定時に、携帯電話のソフトウェア更新やネットワークの保守・運用に必要な一部の取引を90日間認めた。「現在Huawei 製のスマートフォンを使っている一般ユーザーと地方のブロードバンドネットワークのための運用継続を認めるもの」とした。
この措置は次々延長された。
今回、更に90日延長され、2020年8月13日までとした。最後の延長としている。
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2021年に着工し、24年に量産を開始する。
総投資額は120億ドルで、回路線幅 5ナノ(ナノは10億分の1)の製品を生産し、生産能力はウエハー換算で月2万枚。
米側はこれまでもTSMCに米本土生産を要請していた。
TSMCは半導体の受託生産で世界シェアの約5割を占め、Apple の「iPhone」のCPU(中央演算処理装置)もTSMCが全量生産する。
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