iPS網膜シートの移植、臨床研究開始へ

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神戸市立神戸アイセンター病院は、「網膜色素変性に対するiPS細胞由来網膜シート移植に関する臨床研究 」について、611日 の厚生科学審議会再生医療等評価部会了承されたと発表した。

「網膜色素変性」は、遺伝子のキズが原因で光を感じる組織である網膜が少しずつ障害を受ける病気で、人口約5000人に1人の割合で患者がいるとされている。

特徴的な症状は、夜盲(暗いところでものが見えにくい)、視野狭窄(視野が狭い)、視力低下の3つ。失明するおそれもある。

京都大iPS細胞研究所(CiRA)が「iPS細胞ストック事業」で備蓄しているiPS細胞を使い、大日本住友製薬が網膜シートを作成する。

これを網膜色素変性患者の網膜下に移植し、網膜組織の生着、視機能の回復を目指す 。

今回の臨床研究はその第一歩として安全性の確認を主な目的とする。腫瘍ができたり、拒絶反応が起きたりしないか、安全性を1年後に評価する。

予定症例数を2症例と限定しており、参加者については現在通院中の患者から定し 、公募は行わない 。

実施体制は下記の通り。

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網膜黄斑部には錐体細胞と杆体細胞が並んでいる。

錐体細胞 杆体細胞
 明るいところで働く  薄暗いところで働く
 色や形を識別する  明暗や形を識別する
 黄斑(中心窩)に密集  周辺に多数分布
 感光色素:ヨドプシン  感光色素:ロドプシン
 明順応  暗順応


「網膜色素変性」は、下図の通り、
杆体細胞が変性してなくなるもので、周辺の視野や暗い中で光を感じる働きが失われる。


図は https://mainichi.jp/premier/health/articles/20181024/med/00m/010/006000c

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今回のiPS細胞による網膜再生は眼科におけるiPS細胞による再生の3例目である。

① 網膜色素上皮細胞(RPE細胞)

理化学研究所のと先端医療振興財団は2013年7月30日、iPS細胞を使い、滲出型加齢黄斑変性の患者6人を対象に、目の網膜を再生する世界初の臨床研究を8月1日に開始すると発表した。

網膜色素上皮細胞=RPE細胞は、網膜の外側にある一層の細胞で、主な機能は、血液網膜バリア、貪食能、栄養因子の分泌など。これの異常が加齢黄斑変性である。

網膜下の脈絡膜新生血管や傷害を受けたRPEを取り除いた後、iPS細胞から作製したRPEシートを移植用器具を用いて網膜下へ移植する。

2013/12/4 大日本住友製薬と理研認定ベンチャーのヘリオス、iPS細胞由来医薬品を共同開発

② 角膜

大阪大の西田幸二教授(眼科)らのチームの「角膜上皮幹細胞疲弊症に対する他家 iPS 細胞由来角膜上皮細胞シー トの first-in-human 臨床研究」計画が3月5日、厚生労働省の 厚生科学審議会 再生医療等評価部会で、患者への同意の説明文書の内容などに修正を求める条件付きで了承された。

2019/3/8 厚労省、iPS細胞の角膜移植臨床研究計画を了承 

③ 網膜  今回

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