LG Chem、液晶ディスプレイ偏光板事業を売却、有機ELに集中

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LG Chemは6月10日、液晶ディスプレイ用偏光板事業を中国の素材メーカー寧波杉杉 (Ningbo Shanshan Co)に11億ドルで売却する条件付き契約を締結したと発表した。自動車向け等の一部偏光板事業は売却対象外となる。

詳細は追って発表するとしているが、報道では、まず杉杉が70%、LG化学が30%出資する合弁会社を設立し、3年後をメドに残りの持ち分も杉杉側に売却する 。

LG Chem の南京と広州にある偏光板工場は売却し、韓国・梧倉工場は有機ELパネル偏光板や自動車向け液晶パネル偏光板の生産拠点として 残す。

寧波杉杉は衣料品のメーカーだが、リチウムイオン電池の材料も生産する。今回、このために31 億人民元 (約438 百万ドル) の増資を発表した。

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偏光板は液晶ディスプレイを構成する中核素材の一つで、バックライトから発する光を一方向に透過させ、他の方向の光は遮断する役割をする光学フィルム。

LG Chemの説明資料から:


LG Chemは、大型偏光板分野で世界1位の競争力を 持ち、一時は世界市場で27%のシェアを占めていた。

しかし、韓国ではLGディスプレーやサムスン電子が液晶事業を縮小しており、最近は中国の競合企業の低価格競争で収益性が落ちていることから、事業から撤退して有機ELに資源を集中する。

液晶パネル産業では2015年ごろから京東方科技集団(BOE)ら中国のパネルメーカーが政府資金を背景に巨額投資を続けており、 今回のLG Chemの偏光板事業の中国企業への売却で、中国勢がパネルの上流にも乗り出す。

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LG Chemは最近「脱液晶戦略」を推進してきた。

本年2月に液晶用カラーフィルター感光材事業を江蘇雅克科技(Yoke Technology)に580億ウォンで売却した。液晶ガラス基板事業も撤退を決めた。(売却を決めたが、買い手が付かずそのまま撤退した。)

偏光板事業も昨年下半期から売却に向けた本入札を進め今回売却を決めたもの。

逆に今後は有機EL事業に集中する。

同社では、「有機ELを中心に核心競争力を確保するのに集中しており、偏光板事業は韓国の梧倉工場で生産される有機EL偏光板を主力事業に育成する計画」と する。

姉妹会社である LG Display と LG electronics も有機EL技術の開発を進めている。

LG Chemは2019年3月29日、DuPontから有機ELの次世代技術である「soluble OLED技術」を買収したと発表した。溶液状の有機EL材料をインクジェットプリント技術を用いてパネルに定着させる方式で、既存の蒸着方式に比べて材料の損失率を低減させることができる。また、色再現率も向上させられる。LG Chemは同技術に関する約540件の特許と、DuPontの研究・生産設備を取得した。

2019年9月には、有機発光ダイオード技術と材料の開発および製造業者であり、ディスプレイおよび照明産業へのサービスのプロバイダーでもあるUniversal Display Corporation(UDC)と次世代OLED発光層の開発のためのパートナーシップを締結した。

OLEDでの発光層は、注入された電子と正孔が結合して光を出す重要な物質である。特定の色を発光するドーパント 材と、これが光を出すことができるよう支援するホスト材で構成される。

LG化学が開発してきたホスト材は低電圧でも電荷を輸送して寿命が優れている。UDCの燐光ドーパントプログラムは、優れた効率、高色再現、長寿命が特徴である。2つの物質を合わせると、発光層の色再現性能を最大限に引き出すことができる。 ホスト 材とドーパント材を互いに提供し、2つの材料間の最適な組み合わせを見つけることにした。

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