住友金属鉱山、インドネシアのニッケル事業会社の株式の一部を売却

| コメント(0)

友金属鉱山は6月22日、同社が20.1%出資するインドネシアのニッケル事業会社PT Vale Indonesiaの株式の一部を、インドネシアの国有の鉱工業企業の持株会社PT Indonesia Asahan Aluminium (Inalum)に売却すると発表した。59.2%を所有するカナダのVale Canada Limitedも同様に売却する。

Vale Indonesia(旧称 International Nickel Indonesia)は1996年にインドネシア政府と鉱業事業契約を締結したが、2014年10月に契約改正を行った。
この契約は2025年12月に満了する予定であり、同社が2025年以降も操業を継続するためには鉱業事業許可を取得する必要がある。

そのための条件の一つとして同社への出資の40%をインドネシア資本とする必要がある。このため、下記の通りとする。

出資比率:

現在 今回取引 取引後
Vale Canada(カナダ) 59.2% -14.9% 44.3%
住友金属鉱山(日本) 20.1% -5.1% 15.0%
外国資本合計 (79.3%) (-20.0%) (59.3%)
その他(インドネシア) 20.7% 20.0%
Inalum (インドネシア) +20.0% 20.7%
インドネシア資本合計 (20.7%) (+20.0%) (40.7%)
再計 100% 100%

住友金属鉱山の譲渡金額は約106億円。

ーーー

インドネシアのニッケル事業会社PT Vale Indonesiaは旧称 International Nickel Indonesia(PT Inco)で、1960年代にカナダのInco Ltd が設立した。

Inco Ltd の前身はカナダのSudbury地域でニッケル生産を行う米国企業 International Nickel Companyで、他企業の買収などを通してニッケル・銅・PGM(白金族金属)の生産シェアを拡大し、1961年にはマニトバ州のThompson鉱山のフル生産を開始し、ロシアのNorilsk Nickel に次いで世界第2位のニッケル生産企業となった。

1960年代後半にインドネシアでのニッケル事業に参入し、PT Incoを設立、1970年代後半にはニッケル生産を開始し、Incoのカナダ以外での主力となった。

1988年に住友金属鉱山が権益20%を取得し、参入した。

2006年10月にブラジルの資源大手のValeが180億ドルでPT Incoを買収、Inco LtdはVale Canadaとなった。また、PT IncoはPT Vale Indonesiaとなった。

住友金属鉱山のニッケル事業については下記参照


2009/8/22 住友金属鉱山、比最大手ニッケル鉱山会社の株式を取得

同社とVale Canada(旧Inco Ltd)との関係は下記参照

2016/4/6 住友金属鉱山と三井物産、ニューカレドニアのニッケル事業から撤退 

ーーー

今回20%を買収したPT Indonesia Asahan Aluminium (Inalum)は日本とインドネシアのアルミ精錬のJVとして設立された。

日本の企業連合とインドネシア政府は2013年12月9日、日本側が全保有株を同政府に5億5670万ドルで売却するとの合意文書に調印した。
合弁は解消され、インドネシアが事業を国有化した。

2013/12/11 日本企業連合、アサハンアルミから撤退 

Inalumは2017年に政府の方針で、国有の鉱工業企業の持株会社となった。

2018/7/17 インドネシアのアサハンアルミ、銅鉱山運営のFreeport Indonesiaの株式の51%を取得  

コメントする

月別 アーカイブ