約7700マイルのパイプラインや、Cove Point LNG、大型の貯蔵施設等を取得する。
対価として40億ドルを現金で支払うほか、57億ドル相当の負債を引き継ぐ。
Dominionは今回の約30億ドルと見られる税引後売却利益で自社株買いを行なう。
Berkshire Hathaway Energy は発電や送配電事業などを手掛けており、今回の買収で収益源の多角化を図る。
一方、Dominionは「2050年までに二酸化炭素とメタンの純排出量をゼロにする」とし、再生可能エネルギーに投資する考えを示している。
同社では2035年に事業の70%をゼロカーボン(風力、太陽光、電池、原子力)に、残りの大半をLow carbonの天然ガスにするとの計画を示している。
下の地図に同社の発電所(天然ガス)、太陽光発電拠点を示す。
付記
Berkshire Hathawayは2021年7月13日、この買収のうち、Questar Pipelines の買収(17億ドル)をとりやめると発表した。FTCの承認を得られないと判断した。
FTCによると、Rocky Mountainの天然ガス採掘地からUtah州中央への輸送パイプラインは、Berkshireの持つKern River PipelineとDominionの Questar Pipeline の2本だけであり、買収により競争が無くなることを問題視している。.
なお、これ以外(当初計画の97億ドルのうち80億ドル)については2020年11月に完了している。
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今回の買収資産は下記の通り。
・Dominion Energy Transmission
Ohio、West Virginia、Pennsylvania、New York、Maryland、Virginia の6州をつなぐ3,900マイルのパイプラインと貯蔵設備
・Questar Pipelines
ロッキー山脈周辺
・Carolina Gas Transmission
South Carolina 州
・Iroquois Gas Transmission (50%持分)
TransCanada Pipeline とDominionの50/50JVで、米加国境からNY州を南下し、Connecticut州西部を通ってNY市のBronxまでの414マイル
・Cove Point LNG(25%持分)
Cove Point LNG はDominionが100%所有していた。
2019年12月に持分 25% をBrookfield Super-Core Infrastructure Partners に売却した。
今回、25%をBerkshire Hathaway Energy に譲渡し、残り50%をDominionが所有し続ける。Cove Point LNG については、2018/4/18 Cove Point LNGが商業運転開始
・各地の貯蔵設備等
なお、下記のDominionの資産は買収に含まれない。
1) Dominion EnergyとDuke Energy が計画していたAtlantic Coast Pipeline
Dominion Energy とDuke Energy は7月5日、本事業の中止を発表した。環境団体などの反対が根強く、訴訟が相次いでいた。
農務省林野部は国立公園内でのパイプライン建設を許可する決定を下し たが、控訴裁判所が建設を禁止する判断を下した。これについては最高裁が6月に建設を認める判決を下した。
しかし、他にもいろいろな訴訟があり、最終的に承認されたとしても大幅に遅れることから、両社は中止を決めた。
2) Cove Point LNGの50%
3) Renewable Natural Gas (RNG) への投資
Dominionは全国の養豚、酪農業者と組み、豚や牛の排泄物から精製メタンをつくっている。
2035年までに20億ドルの投資を考えている。
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