ニュージーランドのアルミ精錬 NZAS、閉鎖へ

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英豪資源大手Rio Tintoは7月9日、ニュージーランドにあるアルミニウム製錬のNew Zealand Aluminium Smelters (NZAS) を2021年8月をメドに閉鎖すると発表した。電気料金の上昇とアルミ価格の低迷で採算が見込めないと判断した。

New Zealand Aluminium Smelters (NZAS)はNew Zealandの南島の最南端のTiwai Pointに精錬所を持つ。現在の出資はRio Tintoが79.36%、住友化学が20.64%となっている。年産能力は313千トン。

Rio Tintoは2019年10月に、アルミ市場の低迷やエネルギーコストの高さを理由に、NZASの生産削減か、閉鎖を実施する可能性があることを明らかにした。「アルミ業界の短期および中期見通しは厳しく、この資産は不採算が続く見込みだ」と指摘、2020年第1四半期に決めるとしていた。

今回、戦略的見直しの結果、閉鎖を決めた。

電力を供給しているMeridian Energyに2021年8月の契約終了を通告した。今後、閉鎖の準備を進める。

なお、閉鎖の場合、約164百万米ドルの浄化コストがかかるとされており、New Zealand政府は同社が義務をきちんと果たすことを期待するとしている。

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1955年に豪州のWeipaでボーキサイトが発見され、1956年にこの開発のため、Commonwealth Aluminium Corporation Pty が設立された。

1957年にBritish Aluminium Company とのJVでCommonwealth Aluminium Corporation(Comalco)となった。

(1982年に
British Aluminium CompanyはAlcanに買収された。)

Rio TintoはComalco株を買い進め、72.43%を取得していたが、2000年にTOBでComalcoの100%を取得した。

なお、Rio Tintoは2007年7月、カナダのアルミ大手、Alcanを買収することで合意したと発表した。買収額は381億ドル。両社のアルミ地金生産量は合計で430万トン強に達し、統合後は世界首位に躍り出る。

2007/7/17 Rio Tinto、Alcanを買収 アルミ生産で世界最大に


1965年にアルミニウムの需要が急増して国際的にも不足をきたし、内外の製錬会社はいずれも競って増産工事を進めたが、それでも需要に追い付けず、供給不足が続くものとみられた。

1967年にComalcoから昭和電工にニュージーランドでのアルミニウム製錬工場建設計画への参加の勧誘があり、昭和電工から住友化学に参加を勧めた。

これは当時ニュ-ジーランド政府が建設中であったManapouri 湖の水力発電所からの電力を利用して、Comalcoのアルミナを使用してアルミニウムの製錬を行なおうとするもので、Manapouri 湖は当時残されていた水力発電地点のうち世界でもっとも有望なものであった。

New Zealand Aluminium Smelters (NZAS) は1969年に、Comalco Ltd (50%) と日本の昭和電工(25%)、住友化学(25%) のJVとして設立された。

1971年に第1期の75千トンがスタートした。その後、第2期、第3期の増設を行い、1976年に157千トンとなった。その後の増設で能力は313千トンとなった。

その後、昭和電工が撤退し、Comalcoを買収したRio Tintoが79.36%、住友化学が20.64%となって現在に至っている。

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日本のアルミニウム精錬能力は1978年には164万トンであったが、「電気の缶詰」とも呼ばれるアルミは石油危機により深刻の度を深めた。

その結果、各社は工場閉鎖を進め、1979年には110万トン体制、1982年には70万トン体制、1986年には35万トン体制としたが、世界的なアルミニウム地金の構造的な供給過剰傾向、1985年秋以来の円高の一層の進行により、国内地金市況は低下し、長期的低迷から回復のめどが立たない状況となった。

さらに日米通商交渉の結果、地金の輸入関税(9%)が1988年から米国並みの1%と決定され、各社は撤退を決定した。

唯一残っていた日本軽金属の蒲原製造所(年産7千トン)が2014年3月31日をもって停止し、日本の工場は無くなった。

2014/3/19 日軽金、日本唯一のアルミ精錬工場を停止 

日本のアルミメーカー(及び商社)は日本での増設と並行して、海外プロジェクトも推進した。

日本での製造停止後はこれらが供給ソースとなった。

今回停止するNZAS以外のアルミニウム海外事業の概要は下記の通り。

立地 能力 主体 その他 参考
ALBRAS
(Alumínio Brasileiro S.A.)
ブラジル 45万トン Norsk Hydro 51%
(当初 Rio Doce )
日本アマゾンアルミニウム 49% 日本アマゾンアルミニウム

国際協力機構(JICA) 44.92%、
三井物産 12.58%、伊藤忠商事 12.12%、三井アルミニウム 8.31%、日本軽金属 7.94%、住友化学 4.59%、YKK 2.02%、双日 1.84%、神戸製鋼所 1.84%、日産自動車 1.01%、豊田通商 0.92%、JFE商事 0.92%、三協立山 0.92%、三井住友海上火災 0.09%
2010/6/16 ブラジルのVale、アマゾン・アルミ事業から撤退、Norsk Hydroに譲渡
CVG Venalum
ベネズエラ 43万トン Corporacion Venezolana de Guayana 80%
(
ガイアナ開発公団)
日本側(下記)撤退
昭和電工 7%、神戸製鋼4%、住友化学 4%、三菱マテリアル 3%、三菱アルミニウム 1%、丸紅 1%
2009/6/11 ベネズエラのアルミ合弁 日本の6社撤退へ 
Aluminerie Alouette カナダ・
ケベック州
55万トン Rio Tinto 40%
(当初 Alcan)
AMAG Austria Metall 20%、
Hydro Aluminium Canada 20%、
Investissement Québec 6.67%、
丸紅 13.33%
Boyne Smelters 豪州 50万トン Rio Tinto 59.39%
(当初 Comalco)
YKK 9.50%、
UACJ Australia 9.29%、
Southern Cross Aluminium 7.71%、
Ryowa Development 5.19%、Ryowa Development II 6.46%、
住友化学 2.46%
Ryowa Developmentは三菱商事の豪州子会社
Indonesia Asahan Aluminium    (INALM) インドネシア 日本アサハンアルミニウム 58.9%→0 インドネシア政府 41.1%→100% 日本アサハンアルミニウム

国際協力機構(JICA) 50% 
旧精錬5社(
住友化学、昭和電工、日本軽金属、三菱化学、三井アルミ)各7.5%、計37.5%
7商社 合計12.5%

2013/12/11 日本企業連合、アサハンアルミから撤退 
2018/7/17 インドネシアのアサハンアルミ、銅鉱山運営のFreeport Indonesiaの株式の51%を取得  
ALCOA - INTALCO Ferndale, Washington 278千トン Alcoa 61%→100%

YKK 7%→0
三井物産 32%→0

2006年売却

ALCOA - EASTALCO Frederick, Maryland. 195千トン
Portland Aluminium Smelter 豪州 345千トン Alcoa 55% China International Trust Investment Corporation (CITIC) 22.5%
丸紅 22.5%
Mozal Aluminium Smelter モザンビーク 56万トン BHP Billiton 47.1%, 三菱商事 25%、
Industrial Development Corp. of South Africa 24%、
Government of Mozambique 3.9%


最近の日本のアルミ地金輸入は下記の通り。

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