英国、次世代通信規格「5G」から Huawei 排除

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英政府は、次世代の通信規格「5G」をめぐって、中国の通信機器大手 Huaweiの機器の使用を部分的に認めるとしていた方針を転換し、2027年までに排除することを明らかにした。

ジョンソン首相や閣僚、安全保障担当責任者らが、7月14日の国家安全保障会議(NSC)会合で計画に署名した。
英通信事業者は来年から5G向けにHuawei製品を購入できなくなる。すでに導入済みのHuawei製品についても2027年までに5Gのインフラから撤去しなければならない。

5Gは英国にとって「変革をもたらす」一方で、「基盤となるインフラの安全性や耐性に対する信頼感」は重要だと指摘した。

デジタル相は議会で「アメリカの制裁によって、Huaweiの製品のセキュリティーについて信頼できなくなった」と説明した。

政府によると、Huawei製品の排除に伴い英通信事業者が被るコストは最大で20億ポンド(約2680億円)に上るほか、5Gの開始は2-3年遅れる見通し。

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米国は安全保障上の理由で Huawei 製品の完全排除を同盟国に求めていたが、英国のボリス・ジョンソン政権は2020年2月初めに、次世代通信規格「5G」通信網でHuawei製品の一部使用を認める一方、英国市場におけるHuawei製品の割合に35%という上限を設ける決定を下した。上限の導入は2023年になる見込み。

米商務省の産業安全保障局 (Bureau of Industry and Security ) は5月15日、Entity Listによる華為技術(Huawei)に対する輸出禁止措置を強化すると発表した。
米国に由来する技術を使った半導体は、外国製でも同社への輸出ができなくなる。

これを受け、台湾積体電路製造(TSMC)はHuaweiからの新規受注を止めた。

2020/5/18 米商務省、Huawei向け輸出規制を強化

この結果、英当局は5G通信網で同社製品を利用する安全性と持続可能性を再評価せざるを得なくなった。 米国の新規制でHuaweiは米国企業の半導体を使用できなくなる。

英国立サイバーセキュリティセンター(NCSC)は、「米国が最近、中国に対して制裁措置を追加したことを受け、Huawei製品に対するさまざまなリスクについて考慮しながら、さらなる検討を行う予定だ」と発表した。英国政府は、「最も重要なのは、英国のネットワークのセキュリティと回復力だ。米国がHuaweiに対して制裁措置を追加したことで、英国内のネットワークにさまざまな影響が及ぶ可能性があるため、NCSCが注意深く検討しているところだ」と述べた。

Huaweiは5月23日、「英政府は1月に5Gネットワーク建設への参加を認めた。英国がネットワークのセキュリティと回復力を高めていくためには、最良の技術と幅広い選択肢、イノベーション、多くのサプライヤーが必要であるためだ。英国で20年以上事業を行う民間企業としてネットワーク接続を維持できるよう支援する」と述べた。

Huaweiは6月25日、英ケンブリッジに研究・製造拠点を設置すると発表した。

2020/6/29 Huawei、英国に研究拠点設置

英国の政策変更の動きをみて、駐英中国大使は7月6日、「私たちはあなた方の友人でありたい。だがあなた方がわれわれを敵対国にするなら、あなた方はその報いを受けなければならない」 と露骨な脅しをかけた。  

最終的に英国政府は、米国のオブライエン大統領補佐官(国家安全保障担当)がパリで英国、フランス、ドイツ、イタリアと会合を持つ直前にHuawei切り捨てを決めた。

中国外務省の華春瑩報道局長は7月15日の記者会見で、英国のHuawei排除に「強烈な反対」を表明した上で、中国企業の合法的な権益を守るために「あらゆる必要な措置を取る」と警告した。

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米国は英国がHuaweiの機器使用を認めたことに不満を持ち、説得を続けてきた。

英国は、米国及びカナダ、豪州、New Zealandの諜報機関でつくるFive Eyesのメンバーであり、協定を結び、世界中に張り巡らせたSIGINTの設備や盗聴情報を相互利用・共同利用する為に協定を結んでいる。
米国は、これらの国がHuaweiの5Gを使うと、Five Eyes
網を通じ米国の情報網まで中国に露出しかねないという論理で、各国に圧力をかけている。

豪州政府は2019年8月に、「5G」の通信網について「安全保障上の懸念」からHuawei とZTEの参加を認めない方針を出した。
ニュージーランドでも、政府がHuawei製品の使用は「国家安全保障上の重大な危機」があると警告したため、同国大手通信事業者が11月下旬、5Gの整備で同社製品を使用しないと発表した。
英国の今回の決定で、残るのはカナダだけである。

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