富士フイルムは7月1日、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)治療薬の海外展開に向けて、インド大手製薬企業 Dr. Reddy's Laboratories および世界的な医療物資・医薬品提供会社Global Response Aid と提携すると発表した。
富士フイルム富山化学、Dr. Reddy's Laboratories 、Global Response Aid の3社間で、「アビガン®錠」の開発・製造・販売に関するライセンス契約を締結した。
富士フイルム富山化学は、Dr. Reddy's Laboratories 、Global Response Aid に対して海外(中国・ロシアを除く)での「アビガン」の開発権・製造権・販売権(製造権はDr. Reddy's Laboratorieのみ)などを独占的に付与するとともに、2社より契約一時金や販売ロイヤリティを受領する。
現在、富士フイルムグループは、日本・米国でCOVID-19患者を対象とした「アビガン」の臨床試験を実施するとともに、国内外の企業と連携して「アビガン」の増産を進めている。
Dr. Reddy's Laboratories は、1984年設立のインドのトップクラスの大手医薬品会社で、世界でもトップ10に入るジェネリック医薬品の開発・製造・販売会社。インドのみならず欧米などでも事業を拡大しグローバル展開を加速させている。
富士フィルムは2011年7月28日、Dr. Reddy's Laboratoriesと、日本市場向けのジェネリック医薬品事業で業務提携し、国内に合弁会社を設立する基本合意を締結した。ジェネリック医薬品の開発・製造をするもので、出資比率は富士フイルムが51%、DRLが49%としていた。
しかし、2013年6月3日、富士フィルムは合弁会社設立に関する基本合意を解消した。今後、原薬の開発・製造、製剤の開発・製造の委託、スーパージェネリック医薬品の開発・マーケティングなどにおける協業の可能性を検討するとしている。
今回、アビガンの海外(中国・ロシアを除く)での製造権を与える。
Global Response Aid はドバイに拠点を置き、医療メーカーとの協力体制の下、医療物資・医薬品や医療サービスなどをワールドワイドに提供する会社。
Kuwaitに本拠を置く石油関連のグローバルなロジスティックス業者であるAgility がCOVID-19対策のために設立した。
Dr. Reddy's LaboratoriesおよびGlobal Response Aid は、感染が拡大しているインドや中東などでCOVID-19患者を対象とした臨床試験を速やかに実施する。
付記
富士フイルムホールディングスなどは、「アビガン」のPhase Ⅲ治験を7月中にもクウェートで始める。
Dr. Reddy's Laboratoriesが主体となって最大1千人程度の参加者を集める大規模な治験で、新型コロナ薬としての効果や副作用を確かめる。Global Response Aid は治験施設の準備などで協力する。
富士フイルム富山化学は、保有する「アビガン」の製剤・製法特許をDr. Reddy's Laboratoriesに供与する。
アビガンの製法特許そのものは既に切れている。中国では海正薬業は本年2月に中国当局から生産認可を取得し、2月16日から「法維拉韋(ファビピラビル)」の商品名で生産を始めた。
Dr. Reddy's Laboratoriesは「アビガン」と同一品質の薬剤の製造体制を確立、製造した薬剤を自社のみならず Global Response Aidのグローバルな販売網を活用して、迅速かつ安定した薬剤供給を行う。
富士フイルムグループは、COVID-19 の世界的な感染拡大が継続し治療薬が求められている緊急性を鑑みて、両社と提携し「アビガン」の迅速な開発・供給体制をグローバルに構築する。
コメントする