朝鮮戦争の韓国軍捕虜、金正恩委員長を相手取り勝訴

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朝鮮戦争(6・25戦争)当時、北朝鮮に連行され、強制労働をさせられた元韓国軍捕虜の2人が北朝鮮政府と金正恩国務委員長を相手取り、損害賠償を求めた訴訟で勝訴した。

朝鮮戦争は、1950年6月25日に金日成率いる北朝鮮が38度線を越えて韓国に侵略を仕掛けたことによって勃発した。

2人は6・25戦争に参戦した際に捕虜となり、1953年から33カ月にわたり平安南道江東郡の炭鉱で作業に従事、2001年に脱北し韓国に戻った。

2人は強制労働に対する慰謝料の支払いを求め、2016年10月にソウル中央地裁に訴えを起こした。  

ソウル中央地裁は7月7日「北朝鮮と金正恩は2人にそれぞれ2100万ウォン(約190万円)ずつ賠償せよ」とする原告勝訴の判決を言い渡した。  

争点は、北朝鮮政権の「法的性格」で、韓国の国内法上、北朝鮮は「政府を僭称する不法団体」であるため、行為能力を認めることができるかが争点となった。

裁判長は北朝鮮について「非法人社団」と規定し、損害賠償責任義務があると判断した。そして、「違法行為は金日成の在任中に発生したが、(金正恩委員長は)実質的かつ法律的な代表者であり違法行為者である金日成・金正日の相続者として連帯責任がある」と判断した。

文在寅政権は、強制動員被害者に対して日本企業に損害賠償を命じた判決に「司法府の判断には政府が介入できない」という基本立場をとっており、今回も介入しないと思われる。

北朝鮮側は裁判に応じておらず、判決はこのまま確定する見通し。今後、北朝鮮反発する可能性が強い。

弁護団は、韓国の裁判所に現在まで20億ウォンほど供託されている北朝鮮向けの著作権料から賠償金を受け取る計画である。

韓国の放送局や出版社などが北朝鮮の朝鮮中央テレビの映像、出版物を使用して得た著作権料がその対象で、南北経済文化協力財団は2004年からこれらの資金を北朝鮮に送金してきたが、金剛山観光客狙撃事件の影響で著作権料の送金が禁じられ、2008年から今年5月までおよそ20億ウォンが裁判所に供託されている。

この裁判は韓国国内で金正恩委員長を相手取って行われた初の裁判で、今後同様の訴訟にも影響を与えるものと予想される。  

今回の国軍捕虜訴訟をサポートした市民団体によると、身元が確認されている韓国内の国軍捕虜は合計80人になる。残りの生存者21人をはじめ、故人になった57人の国軍捕虜遺族の意思を確認した後、追加訴訟を進める。

今回の判決は韓国人拉致被害者損害賠償訴訟や、最近北朝鮮が一方的に爆破した開城工業団地内の南北共同連絡事務所に対する被害補償などにも影響を及ぼす。

米国では、2015年末から2016年初めにかけて実施された北朝鮮へのツアーに参加中に北朝鮮当局に拘束され、2017年6月に昏睡状態で帰国しその後死亡した米国人大学生Otto Warmbierの家族は金正恩委員長と北朝鮮を相手取り起こした訴訟で5億ドルの賠償判決を受けた後、各国に隠されている北朝鮮の財産を差し押さえている。

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