Nature誌は7月24日付で "Discovery of SARS-CoV-2 antiviral drugs through large-scale compound repurposing" という論文を掲載した。
国際チームの論文で、Laura Riva (Sanford Burnham Prebys Medical Discovery Institute) とShuofeng Yuan(University of Hong Kong)が共同執筆した。チームにはSanford Burnham Prebys Medical Discovery InstituteのNaoko Matsunagaの名が出ている。
開発中や既存の約1万2000種類の薬について新型コロナウイルス感染症の治療に役立つかどうかを細胞実験で調べた結果、21の薬剤が候補として出てきた。
アビガンはこれに含まれていない。
既に他の効用でFDAの承認を得ているのが2つ(ハンセン病のClofazimine、アレルギーのAstemizole) で、ほかにRemdesivirはCOVID-19向けにFDAから緊急承認 (EUA) を得ている。
このほかに他の効用で臨床試験に入っているものが多い。(PhaseⅢが1つ、PhaseⅡが3つ、PhaseⅠが6つ)
クロロキン誘導品のHanfangchin Aなど4つはRemdesivirとのシナジーで機能する。
チームはこの21の候補のうち、3つが特に有望としている。
ONO 5334:小野薬品の骨粗鬆症向け:PhaseⅡまで進んだが、競合状況などから2012年に開発中止を発表した。
MDL-28170:アルツハイマー
Apilimod:自己免疫疾患、癌が主であったが期待外れ、PIKfyve inhibitor として有効
研究チームは現在、21の候補を小動物でテスト中で、結果が良ければCOVID-19治療の臨床試験の実施をFDAと協議するとしている。
小野薬品では「内容を精査して対応を検討する」としている。
候補薬剤は下記の通り。
薬剤 | 本来の用途 | 状況 |
Clofazimine | ハンセン病 | Approved (FDA) |
Astemizole | アレルギー | Approved (FDA) and withdrawn |
Remdesivir | ウイルス感染 | EUA(FDA) |
Hanfangchin A (tetrandrine) | 癌、マラリア原虫感染 | Phase III |
Apilimod | 自己免疫疾患 、癌 | Phase II |
MLN-3897 | 骨疾患、炎症疾患 | |
ONO 5334 | 骨粗しょう症 | |
Elopiprazole | 精神異常 | Phase I |
SDZ-62-434 | 癌 | |
YH-1238 | 胃潰瘍 | |
DS-6930 | 糖尿病 | |
N-tert-Butylisoquine (GSK369796) | マラリア原虫感染 | |
R 82913 | HIV | |
VBY-825 | 非アルコール性脂肪性肝炎, PBC原発性胆汁性肝硬変 | Phase 0 |
8-(3-Chlorostyryl)caffeine | 精神異常 | Preclinical |
AMG-2674 | 痛み | |
KW 8232 | 骨粗しょう症 | |
MDL 28170 | アルツハイマー | |
SB-616234-A | 気分障害 | |
SL-11128 | 癌 | |
Z LVG CHN2 | バクテリア感染 |
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