AstraZeneca、COVID-19の抗体医薬品の治験開始、米FDAは回復期血漿療法を緊急使用許可

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AstraZenecaは8月25日、COVID-19の抗体医薬品AZD7442のPhaseⅠ 治験を開始すると発表した。

AZD7442 はCOVID-19の回復期の患者から採取したモノクロナール抗体 2種類(AZD8895 + AZD1061)を組み合わせたもの。

特定の抗原に反応するこれらの抗体は米国のVanderbilt University Medical Centerで発見されたもので、AstraZeneca は6月9日に 6種類のモノクロナール抗体についてライセンスを受けた。
AstraZenecaで半減期延長やFc受容体(FcRn)への結合の引き下げなどの最適化を行なっている。

最近のNatureの論文で、モノクロナール抗体がホストの細胞にウイルスが結合するのをブロックすることが明らかにされている。半減期延長で少なくとも6カ月はCOVID-19から保護される。

Phase Ⅰ 治験は英国の18歳から55歳までの健康な人、最大48人で行なう。AstraZenecaはVanderbilt Universityとのライセンス契約と同時に、PhaseⅠの治験の費用拠出で、米政府傘下の国防高等研究計画局(DARPA)と生物医学先端研究開発局(BARDA)と契約を結んでいる。 このうち、BARDAは2,365万ドルを拠出する。

Phase Ⅰで有用性が認められれば、より大規模なPhaseⅡ以降に移る。

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米FDAは8月23日、新型コロナウイルス感染症患者の回復期血漿を使った治療法に関する緊急使用許可 (Emergency Use Authorizationを発表した。

新型コロナウイルス感染症にかかり、回復期にある患者の血漿には新型コロナウイルスに対する抗体を含んでおり、これを投与することで治療を行うもの。

FDAは3月25日に研究者が重症の患者に対して回復期の患者の血漿を使った試験的な治療をすることを認めた。既に新型コロナウイルス患者6万人以上に対してこの治療法が使われている。

トランプ大統領は、「China virusとの闘いにおいて真に歴史的な発表を行う。これで無数の命が救われる 。本日の行動はこの治療法の利用を劇的に増大させる」と強調した。

中国の報告では、酸素投与が必要だが人工呼吸器が必要なほどではない中等症の患者グループでは有効性が示された。

今回の発表を受け、WHOの首席科学者は「効果があるとの決定的な研究結果はない」と述べ、現段階で各国が治療法として用いることに慎重な姿勢を示した。
新型コロナに関してはまだ大規模な臨床試験データがな く、今後、血漿療法を受けた患者と受けない患者で効果を比較する臨床試験の実施を推奨するとした。

またWHO上級アドバイザーは、血漿療法によって、発熱から重篤な心肺機能の障害まで、さまざまな副作用が報告されていることを明らかにした。




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