プレシジョン・システム・サイエンス(PSS社)は7月17日、同社の全自動PCR検査装置とPCR試薬のセット2組を8月3日から販売開始すると発表した。
当面、これらの全自動PCR検査装置、PCR試薬、および消耗品等の製造・供給能力が限定的であることを考慮し、PSSと密接な協力関係 のある研究施設、医療機関への販売を開始し、順次、販売対象を拡大 する。
全自動PCR検査装置 | PCR試薬 |
「エリートインジーニアス」(ELITechの製品名 ELITeInGenius)
|
ELITechのPCR試薬 「エリートMGB SARS-CoV-2 キット」 (液状試薬) |
「ジーンリードエイト」PSSブランド
|
セルテスト社製PCR試薬 「VIASURE SARS-CoV-2 PCR (ORF1ab gene, N gene)」 (凍結乾燥試薬) |
エリテック社製「COVID-19」検査用PCR試薬「エリートMGB SARS-CoV-2 キット」については本年7月8日に、
セルテスト社製「COVID-19」検査用PCR試薬「VIASURE SARS-CoV-2 PCR (ORF1ab gene, N gene)」は、本年6月12日に、
厚生労働省健康局感染症課・国立感染症研究所による「臨床検体を用いた評価結果が取得された2019-nCoV遺伝子検査方法」に、陽性一致率100%、陰性一致率100%との結果が記載、公表されており、両試薬は 保険適用の対象製品になっている。
プレシジョン・システム・サイエンス(PSS社)は1985年に理化学機器(臨床検査機器)の保守メンテナンスを目的として設立された。
1995年にマグトレーション・テクノロジーを利用したDNA自動抽出装置等の製品化に成功。
2001年の株式公開以降、磁性ビーズを担体とするイムノアッセイやDNA抽出の自動化機器開発をスタートして、現在は、DNA増幅、蛍光(化学発光)測定、及び各種の試薬、解析ソフト等幅広く、総合的な開発を行い、独自のバイオシステムコンセプトの構築に成功している。
東洋紡績、Hoffmann-La Roche、Boehringer Mannheim (現在はRoche Diagnostics)などとDNA自動抽出装置等に関するOEM契約を締結している。
PSS社と東京農工大学(工学研究院生命機能科学部門)は、磁性体を用いた核酸の抽出や機能解析等について共同研究を行い、その結果としてPSS社は核酸抽出からリアルタイムPCRを全自動化した「geneLEADシステム」を開発した。
•核酸(DNA/RNA)抽出からリアルタイムPCRまでを完全自動化し、Sample to Answerを実現
•PSSオリジナル磁性粒子抽出法 "Magtration®"を採用
•最大6色のマルチプレックス蛍光検出機能と各サンプル独立温度制御サーマルサイクラーを搭載
•PCR試薬オープンシステム(各種PCR試薬の最適反応条件設定ソフトプログラムを搭載)
•COVID-19を含む様々な遺伝子検査に対応可能
•1検査/2~3時間(使用する試薬、同時に処理する検体数により異なります)
•検体、試薬カートリッジのバーコード管理機能搭載
•SWABにより採取された鼻&喉の粘膜からのPCR測定が可能
•唾液サンプルにも対応
熱帯、亜熱帯で発生し、世界への拡散が予想されるデング熱、ジカ熱、エボラ熱、西ナイルウィルスあるいはマラリア等に対応できる汎用性の高いシステムとして製品化されている。
PSS社と東京農工大学は「ウイルス拡散を防ぐにはPCR検査診断と接触の最小限化が不可欠」として3月10日に核酸抽出からリアルタイムPCRまでを全自動化したgeneLEADシステムを活用して新型コロナウイルスの迅速診断技術の可能性を確認したと発表し た。
本年4月に、フランスにおいてPSSとELITechが共同開発した全自動PCR検査システムと試薬KITがウイルス検出に大きな役割を果たしていることで、ローラン・ピック駐日フランス大使 が同社に礼状を送った。
ーーー
既報のとおり、タカラバイオの米国子会社Takara Bio USA, Inc.は6月8日、米国の医療関連企業bioSyntagma, Inc. のグループと組んで、PCR検査の効率を大幅に上げる手法を開発したと発表した。
10~30分で5,184件のサンプルをチップに分け、10~30分でそれぞれに反応液を分注、2時間で検査する。
2020/6/10 タカラバイオ、PCR検査の新手法を開発
コメントする