建設アスベスト、最高裁弁論へ

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最高裁第1小法廷(深山卓也裁判長)は8月6日、建設現場でアスベスト(石綿)を吸い込み、肺がんや中皮腫になったとして、神奈川県の元労働者と遺族らが国と建材メーカーに、元労働者1人当たり3850万円の損害賠償を求めた訴訟の上告審弁論を10月22日に開くと決めた。

第1小法廷には今回の訴訟以外に東京、大阪、京都の各地裁で起こされた訴訟も上告されている。 このほか、2019年11月に福岡高裁の判決が出ているが、まだ上告されていない模様。

高裁段階では5件とも国の責任は認めているが、メーカー責任と一人親方への責任で、 1件ずつ認めていない。

一人親方については、補償対象とするものでも理由は分かれている。
地裁段階では労働安全衛生法の保護対象に含まれないとして救済を否定したものの、「(一人親方を)保護する法律を定めなかった立法府の責任を問うことで解決されるべき問題 」とするものもあった。(京都地裁 2016/1)

今回、統一的な判断基準を示す可能性がある。

全国で起こされている「建設アスベスト訴訟」で高裁判決  (〇は有罪、Xは無罪、一人親方の〇は補償対象、Xは補償対象外)

メーカーの責任 一人親方への責任
横浜地裁 東京高裁 2017/10 X 労働関係法令が保護対象とする「労働者」には当たらず、国は賠償責任を負わない。
東京地裁 東京高裁 2018/3 X  「健康被害との因果関係が立証されていない」 〇  建設現場で労働者とともに作業に従事
京都地裁 大阪高裁 2018/8 〇  労働安全衛生法には「労働現場で生じる健康障害について労働者以外の保護を念頭に置いた規定がある」
大阪地裁 大阪高裁 2018/9 〇  労働安全衛生法上の保護対象ではないが、国の違法行為があれば保護されるべき
福岡地裁 福岡高裁 2019/11 契約形式に違いがあるだけ


詳細は  2018/9/5 建設石綿訴訟の控訴審、原告全面勝訴 (これ以降の高裁判決2件も付記している。)


付記 
2020/8/28 横浜2陣の東京高裁判決

横浜地裁 東京高裁 2020/8 他の労働者と同等であり、国は一人親方にも安全を守る法的義務がある

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