武田薬品、大衆薬事業を米投資ファンドに売却へ

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武田薬品工業が「アリナミン」などの一般用医薬品事業を扱う完全子会社の武田コンシューマーヘルスケアを米投資ファンド大手 The Blackstone Groupに売却する方向で最終調整に入った。共同通信が8月19日に報じた。

売却額は2500億円程度で、アイルランド製薬大手シャイアーの買収で膨らんだ負債を圧縮し、抗がん剤など医療用医薬品事業の新薬開発に経営資源を集中する。

付記

武田薬品は8月24日、売却を発表した。

売却先 The Blackstone Group Inc.

譲渡実行日 2021年3月31日(予定)

売却価額 2,420億円に純有利子負債や運転資本等に係る調整を行う。

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武田薬品は2019年1月8日付で、アイルランドの製薬大手Shire plc の買収を完了した。

買収金額(円換算)は、買収を発表した2019年5月時点は約6.8兆円だったが、円高が進んだことで約6.2兆円となった。

同社では普通株式を発行し、3.1兆円を取得した。

2019/1/5 武田薬品、1月8日にShire plcの買収完了へ 

Shire買収と同時に、債務圧縮のために計100億ドル規模の資産売却方針を掲げ、武田薬品とShireのノンコア事業の売却を進めてきた。


時期 売却事業 売却先 売却金額
2019/5 Shireのドライアイの兆候・症状の治療薬 Novartis 34億ドルの一時金
最大19億ドルのマイルストン
2019/11 ロシア、ジョージア、独立国家共同体の国々に限定されたノンコアの一般用医薬品および医療用医薬品 ドイツのSTADA Arzneimittel 総額6.6億米ドル
中近東・アフリカで販売する一部の医療用医薬品・一般用医薬品約30製品のポートフォリオ スイスのAcino 2億米ドル以上
2020/3 ラテンアメリカにおけるノン・コア一般用医薬品、医療用医薬品 Hypera Pharma 8億2,500万米ドル
2020/4 欧州で販売する一般用医薬品および医療用医薬品ポートフォリオの一部、ならびにデンマークおよびポーランドに所在する2つの製造拠点 デンマークのOrifarm Group 最大約6億7,000万米ドル
2020/6 アジア・パシフィックの国々のみで販売する一部のノンコアの一般用医薬品及び医療用医薬品 韓国のCelltrion 一時金2億6,600万米ドル
マイルストン最大1,200万米ドル

2020/6/16 武田薬品、アジア・パシフィックのノンコア医薬品を韓国のCelltrion社に譲渡 

付記
2020/9
手術用パッチ剤「TachoSil®」 Corza Health, Inc.3億5,000万ユーロ
製造は引き続き、オーストラリアの武田施設で行なう。

付記
2020/9
欧州およびカナダのノンコア医療用医薬品 独 Cheplapharm 5億6, 200万ドル


同社は2020年4月頃に武田コンシューマーヘルスケアを売却する方針を固めた。

同社の戦略は次の通り。

-グローバル戦略に沿って主要な5つのビジネスエリア(消化器系疾患、希少疾患、血漿分画製剤、オンコロジー、ニューロサイエンス)にさらに注力、ターゲットを絞った革新性の高い医薬品に集中

-「戦略投資の加速化」、「機動性のある組織の構築」、「変革を支えるための組織力の向上」を3つの柱に改革を進める

-主要な5つのビジネスエリアに資源とリソースを集中し、患者のアンメット・メディカル・ニーズにさらに貢献

国内の大衆薬市場については、人口減を背景に伸び悩んで おり、クリストフ・ウェバー社長はかねて大衆薬事業を「コアビジネスではない」として売却を探っていた。

今春から売却に向けた入札を実施、外資系ファンドや国内製薬会社が応札していた。ブルームバーグは7月末に売却先として大正製薬ホールディングスが最有力候補に浮上 していると報じていた

最終的に Blackstone との交渉がまとまり、近く正式な売買契約を結ぶという。

Blackstoneは2019年3月15日、鎮痛剤の「カロナール」などを主力品とするあゆみ製薬を買収すると発表した。負債を含む買収規模は1000億円前後になる。
Blackstoneは2018年から日本市場で企業投資事業を本格展開しており日本での1号案件となる。

あゆみ製薬は2015 年1月設立で、同年8月に参天製薬の抗リウマチ薬事業を、2015年12月には昭和薬品化工の医科事業(解熱鎮痛薬カロナール)をそれぞれ承継し、リウマチ・整形外科の領域に特化したスペシャリティファーマとして事業を展開している。

Blackstoneが海外で投資しているバイオ医薬領域の製品を日本市場で展開するうえでの受け皿として活用し、企業価値の向上を狙う。

武田薬品は、1950年に日本で最初の総合ビタミン剤「パンビタン®」を発売し、その後、1954年 には「アリナミン®」の開発に挑戦し、成功した。 「戦後の食糧難からくる人々の栄養不足を救いたい」という想いが武田コンシューマーヘルスケアの原点であった。

2017年4月に100%子会社武田コンシューマーヘルスケが営業を開始した。

武田コンシューマーヘルスケアの2019年3月期の売上高は641億円で、営業利益は129億円だった。

扱い製品 は下記の通り。

ビタミン剤・ミネラル・滋養強壮保健薬 アリナミン、アクテージ、ハイシー
ドリンク剤・パウチタイプ アリナミン、ハイシー、ベンザブロック滋養内服液
かぜ薬 ベンザブロック、ベンザエース
鎮咳去たん薬 ベンザブロックせき止め、アネトンせき止め
鼻炎用薬 ベンザ鼻炎薬
外皮用薬
みずむし・たむし用薬
便秘薬 タケダ漢方便秘薬
整腸薬 ビオスリー
胃腸薬 ザッツ、タケダ漢方胃腸薬
解熱鎮痛薬 フェリア、タイレノールA、グレラン
鎮うん剤 タケダ乗り物酔い止め
痔疾用薬 ボラギノール
目薬 マイティア
漢方製剤 ストレージタイプ
禁煙補助剤 ニコレット
検査薬 ハイテスター
スキンケア・ボディケア・ヘアケア
薬用入浴剤・薬用石けん
その他 緑の習慣、マイティアハードレンズ装着液


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