厚労省は本年6月、新型コロナウイルスワクチンの国内における早期供給を促すため、ワクチン生産体制等緊急整備事業の公募をおこなった。
https://www.mhlw.go.jp/sinsei/chotatu/chotatu/kikaku/2020/06/kk0612-02.html
厚労省は8月7日、採択結果を発表した。9件の応募が有り、評価の結果、6事業者の事業を採択した。
厚生労働省は6社に対して総額最大約900億円の助成を決めており、複数のワクチンを国内で生産する体制を整える。
各社発表等による内容は下記の通り。
助成金 | 事業 | |
英 AstraZeneca | 約162億円 | 日本に1億2千万回分供給で基本合意 供給支援: 第一三共バイオテク(製剤化)→第一三共 KMバイオロジクス(製剤化)→Meiji Seikaファルマ 日本での原液製造で JCRファーマと協議 |
アンジェス | 約 94億円 | ワクチンの実生産(大規模生産)体制の早期構築を 図るための事業 |
KMバイオロジクス | 約 61億円 | 上記 明治ホールディングスの連結子会社 原液製造に係る既存設備の改造、精製・ユーティリティ設備の整備、原材料保管・品質管理作業に係る設備の新設等 |
塩野義製薬 | 約223億円 | 自社ワクチンの生産体制構築 |
武田薬品工業 | 約301億円 | Novavaxが開発中のワクチンの製造技術移転、生産設備の整備、スケールアップ |
第一三共 | 約 60億円 | 同社開発ワクチンDS-5670の第一三共バイオテックの工場での生産体制整備 |
合計 | 約901億円 |
AstraZeneca:
厚生労働相は8月7日、AstraZenecaから日本国内向けに1億2千万回分の供給を受けることで基本合意したと発表した
第一三共は6月26日、このワクチンの国内における製剤化(バイアル充填、包装、保管等)などについてAstraZenecaと協議を進めることに合意したと発表した。 製剤化は、子会社の第一三共バイオテックがAstraZenecaから原液供給を受けて実施する予定で、「新型インフルエンザワクチン開発・生産体制整備事業」の設備の活用も検討する。
ワクチンは原液を輸入するほか、国内メーカーに原液の製造を委託し、国内で供給するという。
明治ホールディングスは同日、傘下のMeiji Seika ファルマとKMバイオロジクスが、アストラゼネカ㈱が日本へ導入予定の新型コロナウイルスワクチンの国内安定供給に向けた協議を進めることに合意したと発表した。KMバイオロジクスがAstraZenecaから原液の提供を受けて製剤化(バイアル充填・包装)した後、Meiji Seika ファルマが保管・配送を行い、アストラゼネカ㈱と協力して国内流通に必要な準備を行う。2020/6/27 政府、新型コロナワクチン供給でAstraZenecaと協議
JCRファーマ(旧 日本ケミカルリサーチ)は7月31日、AstraZenecaが開発中のワクチンについて、国内における原液製造に関し協議を進めることとなったと発表した。
KMバイオロジクス:
上記の明治ホールディングス発表ではKMバイオロジクスは製剤化担当となっているが、今回、原液製造に係る既存設備の改造等々で助成を得た。
アンジェス:
開発中の自社ワクチンの大阪市立大学医学部附属病院での第1/2相臨床試験で高用量含め予定通り、全ての接種が完了した。今後、接種間隔および接種回数等を検討する別の第1/2相臨床試験を実施する。
2020/6/26 アンジェスのコロナワクチン、大阪市大病院で治験へ
今回、このワクチンの大規模生産体制の早期構築を図る。
塩野義製薬:
グループ会社のUMNファーマが有するBEVSを活用した遺伝子組換えタンパクワクチンを開発している。
基本情報 取り組み状況 目標と対応 生産体制の見通し 組換えタンパクワクチン
(感染研/UMNフ ァーマ/塩野義)遺伝子組換え技術を用いて培養細胞によりコロナウイルスのタンパク質(抗原)を製造し、コロナウイルスタンパク質(抗原)を人に投与するための注射剤。 ○ワクチンの候補を作製中
○動物を用いた有効性評価を開始予定有効なワクチン候補を選定し、その後、非臨床試験及び臨床試験の実施を目指す。 塩野義が開発主体
開発と並行して、国内で唯一BEVS技術を用いた遺伝子組換えタンパクワクチンの製造実績を有するアピ㈱とそのグループ会社である㈱UNIGENと提携し、生産体制の立ち上げを進めている。
2021年末までに3,000万人分以上のワクチンを生産することを目標に、今回の助成金を活用し、生産体制の構築・増強を加速する。
武田薬品工業:
8月7日、米 Novavaxが開発中のワクチンNVX-CoV2373の日本における開発、製造、流通に向けた提携に関して基本合意したと発表した。
- Novavax社が新型コロナウイルス感染症ワクチンの製造技術を提供し、武田薬品が日本国内向けにワクチンを製造・流通
- Novavax社がアジュバントMatrix-Mを供給
- 日本政府は本ワクチンの製造技術移転、生産設備の整備、スケールアップに対し助成武田薬品は Novavaxからのワクチン製造技術の移転、生産設備の整備、およびスケールアップの資金として、厚生労働省から助成金を受領する。
年間2億5千万回分以上のワクチンの生産能力を整備する。
第一三共:
同社が開発中の遺伝子(mRNA)ワクチン(DS-5670)は2021年3月頃の臨床試験開始に向けた準備を進めているが、子会社の第一三共バイオテックの工場にDS-5670の生産体制を整備する。
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WHO資料 DRAFT landscape of COVID-19 candidate vaccines 各ワクチンの状況:
developer/manufacturer platform Type doses Timing Route Phase 1 1/2 2 3 University of Oxford/AstraZeneca Non-Replicating Viral Vector ChAdOx1-S 1 IM 〇 〇 〇 Osaka University/ AnGes/ Takara Bio DNA DNA plasmid vaccine + Adjuvant 2 0, 14 days IM 〇 National Institute of Infectious Disease, Japan/Shionogi/UMN Pharma Protein Subunit S protein +Adjuvant Pre-clinical Novavax(米) Protein Subunit Full length recombinant SARS CoV-2 glycoprotein nanoparticle vaccine adjuvanted with Matrix M 2 0, 21 days IM 〇 University of Tokyo/ Daiichi-Sankyo RNA LNP-encapsulated mRNA Pre-Clinical
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