夏期休暇明けの米議会の懸案はCOVID-19経済対策第4弾と、2021会計年度(20年10月~21年9月)の連邦政府予算である。
2021会計年度の連邦予算案は全く審議されておらず、このままでは10月1日に政府機関は閉鎖される。
2020/9/14 米議会再開、COVID-19経済対策と2021会計年度の連邦政府予算が争点に
Mnuchin 財務長官と民主党のPelosi下院議長が9月1日、11月の大統領選後までのつなぎ予算(10月1日~12月11日)を手当てすることで合意した。政府機関の閉鎖などで大統領選に悪影響が及ぶことを避けることで一致した。
その後、Mnuchin財務長官と Pelosi議長は具体的な内容について議論を続けたが、9月18日に重要な点で決裂した。Pelosi議長は9月21日につなぎ予算案を発表したが、共和党は直ちに拒否した。
通常、つなぎ予算(CR:Continuing Resolution)は経常的なものに限り、政策的なものは除外する。今回も民主党はこの線でつなぎ予算案をつくった。これに対し、上院共和党がクレームをつけ、修正を求めた。
問題としたのは、トランプ大統領が打ち上げた農家支援である。
トランプ米大統領は9月17日、大統領選での激戦区で酪農が盛んなウィスコンシン州で演説し、新型コロナウイルス対応で農家向け支援として新たに130億ドルを拠出すると表明した。
「ウィスコンシン州の素晴らしい酪農家、クランベリーやニンジンの生産家など中国ウイルスで大打撃を受けた農家の支援にわが政権は来週から追加で130億ドル(の拠出)にコミットしている」と述べた。
米農務省は9月18日、トランプ大統領が前日表明した農家向け追加支援に関する詳細を明らかにした。
支援額は最大140億ドルで、トウモロコシ、大豆、小麦などの主要穀物に加え、畜産、酪農、養鶏、タバコの生産業者が対象となる。資金は商品信用公社(CCC:Commodity Credit Corporation)などが拠出する。農務省では、トウモロコシ、大豆、小麦など主要穀物の全国平均価格が、1月中旬から7月下旬までの間に少なくとも5%下落したため、支援対象にしたと説明した。
民主党は当初、農家支援を除外したが、共和党は、「農家に死ねということだ」とし、農業支援を拒否することは民主党にとっても政治的に大きなマイナスになるとした。
ペロシ下院議長はホワイトハウス、共和党首脳と協議し、9月22日に最終的につなぎ予算案を修正した。
つなぎ予算案にはトランプ政権が求めていた農家向け補助金を盛り込んだが、合わせて民主党が主張していた低所得世帯向け食料支援(nutrition assistance for hungry schoolchildren and families)の約80億ドルを含めることで与野党が折り合った。
CCC向け予算に関しては、ペロシ下院議長は、製油業者や石油輸入業者の支援や再生可能燃料の基準達成のために用いることを禁止すると説明した。
下院は9月22日夜、暫定予算案を可決し、上院に送った。
共和党 民主党 無所属 合計 賛成 129 230 359 反対 56 1 57 present 1 1 棄権 13 1 14 合計 198 232 1 431 Present は「出席」と答えて棄権 欠員4名
上院は今週中に可決し、大統領に送る予定。
付記 上院は9月30日にようやく可決した。
共和党 民主党 民主系
無所属合計 賛成 40 43 1 84 反対 10 10 棄権 3 2 1 6 合計 53 45 2 100
大統領は10月1日早朝、期限切れの1時間後にサインし、法律となった。
COVID-19経済対策第4弾については、最高裁判事の任命を巡って与野党の対立はさらに激化しており、見通しは立っていない。
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