エーザイ、認知症薬を2022年度に承認申請へ

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日本経済新聞(2020/9/23)によると、エーザイはBiogenと共同開発しているアルツハイマー治療薬BAN2401について2022年度中に承認申請を目指している。

現在、日米欧中で最終段階の治験を実施中で、2022年7ー9月期に結果がまとまるので2022年度中に薬事申請を目指す。


アルツハイマー型認知症は脳内にベータ・アミロイド(Aβ)が凝集し、中間体(Aβプロトフィブリル)が神経変性過程を誘発・促進すると示唆されている。
スウェーデンのUppsala University
のProf. Lannfeltにより、Aβプロトフィブリルが神経毒であることが証明されている。

病理学的には、繊維化し不溶性となったAβを主成分とする老人斑が脳内に認められる。


アルツハイマー病免疫療法には、Aβを投与して生体内でAβに対する免疫反応を惹起させるワクチン療法や、Aβをターゲットとしたモノクローナル抗体を投与する抗体療法がある。

「BAN2401」は、アルツハイマー病に対する免疫療法剤創製を目的としたヒト化モノクローナル抗体で、ベータ・アミロイド(Aβ)を分解除去する。

Prof. Lannfeltの家族性アルツハイマー病の原因であるアークティック変異Aβに関連する研究に基づいたもので、同博士が設立したスウェーデンのBioArctic Neuroscience ABが開発した。

エーザイとBioArctic は、2007年12月3日、BAN2401について、全世界におけるアルツハイマー病を対象とした研究・開発、製造、販売に関する独占ライセンス契約を締結した。BioArctic は、北欧諸国における販売に関する権利を有している。

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エーザイとBiogenは2014年3月に提携を開始した。

現状は次の通りで、アリセプトを除き、開発で提携している。

エーザイ アリセプト 〈提携対象外〉
(donepezil)
エーザイの杉本八郎博士らが開発
 
アルツハイマーでは、神経伝達物質のアセチルコリンが脳内で減少している。

アセチルコリンを分解するアセチルコリンエステラーゼの作用を阻害することで、アセチルコリンの濃度を高める。

新規ヒト化モノクローナル抗体
「BAN2401」
 
2022年度中に申請
2007/12 スウェーデンのBioArctic Neuroscience ABから全世界の研究・開発、製造、販売の独占ライセンスを受ける。 アルツハイマー病の原因と考えられるベータ・アミロイド成分を除去
βサイト切断酵素(BACE)阻害剤
elenbecestat「E2609」 
 
x試験中止
エーザイが創製

 

アミロイド前駆体タンパク質のβサイト切断酵素であるBACEを阻害することでβアミロイドの総量を低下させる。
Biogen 抗アミロイドβ(Aβ)抗体  
aducanumab
(BIIB037)
 
→ 申請→FDA優先審査
 2021/3までに承認可否決定
Neurimmune社より共同開発およびライセンス契約締結のもとに導入 アミロイド斑(プラーク)は、アミロイドβ蛋白が蓄積したもので、アルツハイマー病患者の脳にみられる。

aducanumab 投与でアミロイドプラークのレベルを下げる


2017/10/27 エーザイとバイオジェン、アルツハイマー治療剤での提携契約を拡大 

2019/10/24  Biogenとエーザイ、一旦治験中止したアルツハイマー薬の承認申請へ

BAN2401に関しては、エーザイは Biogen より契約一時金、本共同研究の進捗および売上高達成に応じたマイルストン支払いを受け取る。研究開発費等の費用を分担し、共同販促に基づく売上高はエーザイに計上され、利益は両社で分配する。


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