Gilead Sciences、Immunomedics を買収

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新型コロナウイルス用の
Remdesivirを開発したGilead Sciences, Inc. は9月13日、Immunomedics を現金約210億ドルで買収する契約を締結した。

革新的な乳がん治療薬Trodelvy (sacituzumab govitecan-hziy) を開発した
Immunomedicsの価値を1株88ドルと評価するもの。

Immunomedics の年初の株価は20ドル前後で、4月3日には9.40ドルの安値を付けていた。その後、株価が急上昇、9月11日終値は42.25ドルとなったが、買収価格はその2倍超となる。

Trodelvyは抗体薬物複合体(ADCantibody drug conjugate)に分類されるがん治療薬で、乳がん全体の10~15%を占めるとされる転移性トリプルネガティブ乳がん(mTNBC)患者を対象に第三選択薬として投与する臨床試験で化学療法と比べて無増悪生存期間(PFS)が約4カ月長くなる効果を示した。

2020年4月には、予想されていなかった米食品医薬品局(FDA)の迅速承認(accelerated approval)を取得した。その後、魅力的な買収ターゲットになるとの観測で同社の株価は急伸していた。

迅速承認(accelerated approval)プログラムは、重篤もしくは生命を脅かすような疾患を対象として、臨床上の有用性が予測できるようなサロゲート(代替)エンドポイントに基づいて医薬品を評価、承認するというもので、1992年から始まった。
市販後に、臨床上の有用性を示すことのできる評価項目を用いて検証試験を実施するということが条件で、市販後の検証試験結果によっては、承認が取り消される。

TNBCは難病で、ホルモン療法も、分子標的治療薬のトラスツズマブも効果がない。Immunomedicsは年内に同薬の完全承認を申請する方針で、2021年前半に欧州でも申請する。

Gilead のDaniel O'Day 会長兼CEOは「今回の買収は、強力で多様化したがん領域のポートフォリオ構築に向けた当社の取り組みにおける大きな進展を示すものだ」とコメントした。

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抗体薬物複合体(ADC)は、抗体と薬物(低分子化合物)を適切なリンカーを介して結合させた薬剤で、がん細胞に発現している標的因子に結合する抗体を介して薬物をがん細胞へ直接届けることで、薬物の全身曝露を抑えつつがん細胞への攻撃力を高める。


第一三共のトラスツズマブ デルクステカン([fam-] trastuzumab deruxtecan)もADCで、同社は3月29日、AstraZenecaの間で、乳がん、胃がん、非小細胞肺がん及び大腸がんを含むHER2発現がんを対象としたグローバルな開発及び商業化契約を結んだ。

2019/4/1 第一三共、抗がん剤でAstraZenecaと戦略的提携、最大で69億ドル受領  

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