英政府は9月9日、EU離脱協定に意図的に反するInternal Market Bill を議会に提出した。
移行期間の終了後、国内各地域間で円滑な通商を維持する狙い( to protect jobs and trade within the UK)だが、離脱協定で定められた北アイルランドに関する議定書の一部を無効とする条項を含んでいる。
閣僚の1人が下院で、「限定的な形("very specific and limited way")」で「国際法に違反」する可能性があると認めた。
同法案を巡っては、与党・保守党内からも英国の評価に傷がつくとの懸念の声が上がっている。政府法務局のJonathan Jones事務次官は前日に突如辞任した。
欧州委員会はこれに懸念を示し、英政府に臨時会合を求めた。欧州委員長は「国際法に違反し、信頼を損なうものだ」と批判した。
2020/9/11 Brexit:英国のInternal Market Bill
英下院は9月14日、Internal Market Billについて、審議開始を可決した。
議会の法律審議は次の通り行われる。
第一読会(First Reading) | 本会議で法律案の題名朗読 |
第二読会(Second Reading) | 本会議で法律案の基本方針審議(その後は、基本方針から外れる修正案は許されない) |
議事進行動議(Programme Motion) | その後の法律案審議の日程表決 |
委員会段階(Committee Stage) | 逐条審査 |
第三読会(Third Reading) | 本会議での法律案最終審議 |
今回、保守党が安定多数を占める下院は、Second Reading を賛成340票、反対263票、棄権36、投票せず11 で可決した。
650名の議員のうち、議長と副議長(3人)、シンフェイン党(7人)は投票しない。現在の保守党の議席数は364。
9月15日から委員会で逐条審査を行う。
この法案は、閣僚の1人が下院で「限定的な形」で「国際法に違反」する可能性があると認めており、与党保守党の有力議員たちが、法案に賛成するには修正が不可欠だとして反発している。
14日の議決では保守党から反対2名、棄権が30名出た。
保守党の1議員はBBCに対して、国際法は順守するべきという「原理原則」のため、法案の審議に反対票を入れたと話した。
他の保守党議員たちは今は様子を見て、必要となれば審議終盤に強く抵抗する方針だという。
最終投票では、修正案が可決される可能性もある。
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