米ホテル大手、中国企業傘下のホテル管理システム企業を買収

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米ホテル運営大手MCR Developmentは8月31日、ホテル管理システムを手掛ける StayNTouch, Inc. を4600万ドルで買収すると発表した。


StayNTouch は2018年に中国の情報システム会社の北京中長石基信息技術(Beijing Shiji Information Technology)が買収した。

2020年3月6日、トランプ大統領は大統領令を出し、安全保障の問題でこの買収を取り消すよう命じた。120日以内での売却を命じ、StayNTouchのホテルゲストのデータへの接触を禁じた。

Beijing Shiji が StayNTouch の取得により、米国の安全保障を傷つける行動をとる恐れがあるとした。

StayNTouchのRover Hotel Management Software はホテルの予約状況や価格設定、清掃状況などの管理システムで、北米、欧州、アジア太平洋の多くのホテルで使われている。

大統領は宿泊者の情報が中国当局に渡るリスク を警戒した。これに対し、Shiji は「StayNTouchの顧客データにはアクセスしていない」と述べていた。

大統領はTikTokの売却を命じているが、TikTokは米国で175百万回以上ダウンロードされており、自動的にユーザーの個人情報を収集する。これにより中国共産党が米国の個人情報を収集し、連邦職員やコントラクターの位置を追跡でき、個人情報に基づき脅迫や産業スパイも可能となるというのが理由である。

本件も同じ発想での禁止である。


Beijing Shiji はホテル向けソリューションプロバイダ大手で、2014年頃から流通、飲食業務向けにITサービス・技術を提供している会社を次々と買収、資本参加した。2015年12月に流通情報システム企業の北京長京益信息科技を買収、中国小売市場のローエンドからハイエンド、小型のコンビニから大型スーパーチェーンまでの市場を網羅し、流通情報システムのトップを狙った。

2014年9月、アリババグループが28億1千万元の投資でBeijing Shijiの発行済み株式15%を取得して話題を呼んだ

MCRは米国でHiltonやMarriottなどのホテルブランドを運営している。




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