座礁した大型貨物船「WAKASHIO」は岡山県笠岡市の長鋪汽船の所有で、商船三井が傭船していた。
事故については、2020/8/24 モーリシャスの重油流出現場へ日本のマジックファイバー油吸着材
商船三井は、「法的責任は一義的には船主だが、法的責任だけで本件が整理できるわけではない。モーリシャスの環境に大きな影響を与える事故だった。社会的責任を負うのは当然で、前面に立って対応する」と説明した。
長鋪汽船は会見に出席しなかったが、「商船三井のモーリシャス自然環境回復基金設立に際し、船主として協力する。今後の支援については沿岸の油回収の作業、船体後方部の処理など船主としての責任を果たしながら、並行して検討する」とコメントした。
商船三井の実施方針は下記の通り。
1. 自然環境保護・回復プロジェクト
環境省がモーリシャスに専門家を派遣して援助活動を行っていることから、こうした動きとも連携しながら進める。
(1) マングローブ保護・育成プロジェクト:民間コンソーシアムの組成と、現地NGOとの協働を検討中。
(2) サンゴ礁回復プロジェクト:企業、大学、研究機関等と連携し、現地NGOとの共同プロジェクトを検討中。
(3) 海鳥の保護・希少種海鳥の研究:研究支援。
(4) モーリシャス自然環境回復基金(仮称)の設立
上記(1)~(3)のプロジェクト・研究の遂行を目的に創設し、同社は発起人として数年間に亘り8億円程度の拠出を予定。
個人・法人からの拠出も受け入れ可能とする予定で、長鋪汽船から拠出の意向表明あり
2. 現地NGOおよびモーリシャス政府・国際公的機関の基金への拠出 合計で1億円程度の拠出を予定。
3. 人的貢献
グループ社員の現地への派遣継続 、モーリシャス駐在員事務所の設立、現地での社員研修の実施
4. 地域社会・産業への貢献
(1) 漁業水産業への支援
(2) 観光業への貢献 「にっぽん丸」による日本発着のモーリシャス寄港クルーズの実施
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モーリシャス政府は8月14日付の声明で、「経済、社会、環境面に影響が出ている」と指摘し、環境汚染で生じた損失や損害に関して法的責任を追及すると表明し た。
モーリシャス政府は、日本政府にトロール漁船の供与を要請した。同国の財務・経済開発省次官は8月21日付の駐モーリシャス大使への書簡で、「モーリシャスの漁師がラグーン沖で操業できるよう完全装備の中規模漁船100隻の提供を日本政府に検討願いたい」とに伝えた。被害が比較的少ないサンゴ礁外側の沖合での漁に使うという。冷却設備を備えた船での漁師の訓練費にもあてる。
長鋪汽船が負う損害賠償額は確定していない。
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