韓国最高裁は10月29日、「横領、収賄の事実認定に関する原審の結論に過ちはない」として、弁護・検察双方の上告を棄却した。
控訴審後の勾留執行停止決定を受けて自宅で生活していた李元大統領は2~3日後に拘置所に再び収監されるとみられている。
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韓国の検察は2018年4月9日、元大統領の李明博容疑者を、総額約110億ウォン(約11億円)の賄賂を受け取るなどしたとして収賄や横領、職権乱用などの罪で起訴した。
検察は特定犯罪加重処罰等に関する法律上の収賄、脱税と、特定経済犯罪加重処罰等に関する法律上の横領、職権乱用、政治資金法違反、さらに大統領記録物管理法違反など 計16の罪状で起訴した。
・ 大統領就任前から自身が所有する自動車部品会社 DAS を秘密資金づくりに利用し、総額約349億ウォンを横領、法人税31億ウォンを脱税。
・ DASの米国での訴訟費用約67億7千万ウォンを韓国最大の財閥サムスングループに負担させ、見返りに不正資金事件で背任罪が確定していた李健熙会長を特別赦免するなどの便宜を図った。
・ 国家情報院の資金10億ウォンの上納を受けたり、公認献金などとして36億ウォンを受けて不法選挙資金・家族の生活費などとして私的に使ったことなど、収賄額は計約111億ウォン。
2018/4/12 韓国の検察、李明博元大統領を起訴
李明博元大統領の判決公判が2018年10月5日、ソウル中央地裁であった。地裁は懲役15年、罰金130億ウォン(約13億円)を言い渡した。
李明博元大統領の控訴審論告求刑公判が2020年1月8日、ソウル高裁で開かれた。
検察側は収賄罪に対して懲役17年、罰金250億ウォン、追徴金約163億ウォンを、横領など残りの罪に対して懲役6年、罰金70億ウォン、合計すると懲役計23年と罰金320億ウォン(約29億6000万円)、追徴金約163億ウォンを求刑した。
求刑を二つに分けたのは、大統領の在任中の職務に関する収賄罪は他の犯罪と切り離して刑を言い渡すべきとする公職選挙法の規定に基づくもの。
控訴審判決公判が2020年2月19日、ソウル高裁で開かれ、高裁は懲役計17年(求刑同計23年)、罰金130億ウォン(約12億円)、追徴金約57億8000万ウォンの判決を言い渡した。同被告は健康状態の悪化な3どを理由に2019年3月に保釈されたが、裁判所が保釈許可を取り消したため再び拘束された。
しかし、李被告が保釈取り消しの決定に対して抗告したため、大法院(最高裁)が判断を下すまで、保釈取り消しの執行が停止され、2月25日に釈放された。
今回、韓国最高裁は「横領、収賄の事実認定に関する原審の結論に過ちはない」として、弁護・検察双方の上告を棄却した。再び収監される。
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韓国の歴代大統領で有罪判決を受けたのは全斗煥、盧泰愚に続いて3人目。
全斗煥元大統領は大統領在任期間中などに不正に蓄財していたとして1997年に追徴金2205億ウォンを科す大法院判決が出た。
盧泰愚元大統領は政治資金隠匿で有罪となったが、その後、粛軍クーデターと光州事件の捜査が行われ、1997年4月17日にそれらを含めた公判で最高裁判所は懲役17年、追徴金2688億ウォンを宣告した。
朴槿恵前大統領は7月にソウル高裁で懲役20年の実刑判決を受けたが、検察側が上告している。
朴槿恵被告の差し戻し控訴審で、ソウル高裁は7月10日、懲役20年、罰金180億ウォンなどの実刑判決を言い渡した。
求刑は懲役35年だが、高裁は、政治生命が絶たれたに等しい上、「刑の執行が終了する時点の年齢なども考慮した」と説明した。
2020/6/11 朴槿恵前政権下での国政介入事件の崔順実被告、実刑確定
これに対して検察側が上告した。
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