iPS細胞由来再生T細胞を用いた個別化がん免疫療法の研究

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京都大iPS細胞研究所は10月1日、がん患者のiPS細胞から大量の免疫細胞をつくり、がんを治療する研究を、大阪大発ベンチャー企業「KOTAIバイオテクノロジーズ」と始めると発表した。

研究期間は3年間で、その後、実際に患者に使う臨床研究をめざす。

がん免疫細胞治療については、CiRA増殖分化機構研究部門がiPS細胞を用いた治療用再生T細胞の研究を進めてきた。

がん患者から、がん細胞を攻撃できるキラーT細胞を分離し、このT細胞からiPS細胞を作製する。iPS細胞の性質を活かして高い機能を持つ、若返ったT細胞を大量に生産することが可能になる。

今回、KOTAIバイオテクノロジーズが保有するがん細胞特異的な表面抗原および免疫細胞の解析技術を活用し、一人ひとりの患者により効果の高い、個別化がん免疫細胞療法の構築を目指し、共同研究を開始した。

研究では、患者のがん組織に含まれる、がんを攻撃する免疫細胞を採取し、iPS細胞をつくる。
がん組織に含まれる免疫細胞はがんを攻撃しているとみられ、治療効果の高い免疫細胞を見つけやすい。

iPS細胞は様々な細胞になるうえ、無限に増やせる性質があるため、この性質をいかして大量の免疫細胞に変化させ、患者に戻して、がんを退治する方法の確立をめざす。
攻撃対象を認識する仕組みはiPS細胞になっても保たれるため、再び免疫細胞に変化させた後も、がんを攻撃することが期待できるという。

KOTAIバイオテクノロジーズは山下和男博士が大阪大学免疫学フロンティア研究センターでの研究成果を基礎に2016年に設立したベンチャー企業で、免疫のバイオインフォマティクス、情報・構造解析における日本を代表する研究拠点として、世界最先端の技術と知見を有しているとしている。

事業内容は、免疫AIプラットフォームの提供及びそれに関わるデータ解析。

本共同研究においては、
CiRAはがん組織よりT細胞を分離しiPS細胞への誘導、T細胞への再分化誘導および機能評価を実施、
KOTAIはT細胞の分離に有用なマーカー情報の提供と、T細胞の遺伝子解析を実施する。




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