SK Hynix、IntelのNAND事業買収

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韓国半導体大手SK Hynixと米Intel Corpは10月20日、Intelの半導体メモリー事業をSK Hynixが買収すると発表した。買収額は約90億ドル。
買収は2025年にかけて段階的に実施する。2021年末までに70億ドル、25年3月までに残りの金額を支払う。

付記

SK Hynix は2021年3月12日、IntelのNAND型フラッシュメモリ事業買収に関し、対米外国投資委員会(CFIUS)の投資審査で承認を得たと発表した。買収に関する米国の規制審査手続きはこれを最後に全て終了した。主要国の審査などを経て、2025年までに買収を完了する。

買収対象にはNAND ソリッド・ステート・ドライブ(SSD) 事業、NAND型フラッシュメモリー単品およびウエハー事業、中国大連の NAND型フラッシュメモリー生産施設が含まれる。

PCを高速化するIntel Optane™ メモリー・テクノロジーは 買収対象外で、Intelに残る。

売買が独禁法上の認可を得た後、最初の70億ドルの支払により、NAND SSD 事業(知財、従業員ともに)と大連の設備が引き渡される。

2025年3月と予想される契約クロージング時に、残りの20億ドルの支払いにより、NAND型フラッシュメモリー単品およびウエハーの製造 /設計に関する知財、R&D関連従業員、大連の従業員が引き渡される。(それまでの間、大連の生産はIntelが行なう。)


SK Hynixは長期のデータ保存に使う「NAND型フラッシュメモリー」市場で首位サムスン電子に次ぐ2位に浮上する。

SK HynixはDRAMでは2位に付けるものの、NANDでは5位と低迷していた。同6位のIntel を買収すれば、市場シェアで現在2位のキオクシアホールディングス(旧東芝メモリ)を抜く。

SKはNAND強化を打ち出しており、キオクシアにも出資している。

キオクシアの上場に際し、東芝とBain/SK Hynix は2020年8月27日付で転換型優先株全部について普通株式に転換した。
SK Hynixは当初の協定により14.96%となる。同社は
10年間、ファイヤーウォール(機密情報へのアクセス制限)があり、10年間は15%超の議決権は与えられない。

SK Hynixは各国の独禁法当局の承認を得て2025年をメドに買収を完了する計画としている。ただIntelのNAND工場は中国・大連市にあり、半導体の国産化を推し進める中国政府の承認プロセスが難航する可能性もある。

 

CPU(中央演算処理装置)を主力とする Intel は、相対的に競争力の劣るメモリー事業部門の整理を進めていた。

Bob Swan CEOは2019年に就任して以来、Advanced Micro DevicesやNVIDIAなどのライバルと主力のプロセッサー事業で競争しながら、メモリー事業で開発の遅れや技術的不具合への対応に追われてきた。

総売上高の10%に満たないNAND事業を手放すことで、Intelは経営戦略を見直すことができる。

Intelは今回の取引で得る資金によって、さまざまな人工知能(AI)や5G、インテリジェントな自律型エッジ機能への投資を計画している。

Swan CEOは「この取引によってインテルは世界中の顧客ニーズに最も合った5Gに全力で取り組むことができます」と述べた。

なお2019年7月に、Intelは同様の目的でAppleに約10億ドルでスマートフォン向けモデム事業を売却している。

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