中国SMIC、米輸出規制対象に

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中国の半導体受託生産最大手、中芯国際集成電路製造(SMIC : Semiconductor Manufacturing International Corporation)は10月4日、同社の一部の米国サプライヤーが、同社が米追加輸出制限の対象であるとの通知を受けたと明らかにした。

9月25日付の商務省の通知文で、SMICへの輸出は中国の軍事活動に使われるリスクがあると明示し、同社に特定製品を輸出する場合は、同省の事前許可を得るよう求めている。

SMICは2000年に設立した半導体受託生産の中国最大手で、2019年の売上高は31億ドル、純利益は2億ドルに達する。中国国有通信機器大手や国策ファンドなどが大株主に名を連ねる。

同社は半導体生産に米Applied Materialsをはじめとした米企業の製造技術を活用している。輸出許可がでなければ、工場新設や増設が難しくなる可能性、半導体の生産などに悪影響が出る恐れがある。
SMICはHuawei傘下の半導体設計会社の海思半導体(HiSilicon Technology)から生産を受託し、Huaweiのスマートフォンや通信機器に半導体を供給している。

SMICは投資家向け開示資料で「輸出制限の生産や運営への影響の評価を始めた。一部の米国から輸出された設備や付属品、原材料の供給が遅れたり、不確実が生じたりして、将来の生産や運営に重要かつ不利な影響が出る可能性がある」と表明した。事業を展開する全ての国・地域で関連法規制を順守していると強調している。

SMICはまた、米商務省産業安全保障局と「予備的なやりとり」を行ったと明らかにした。

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習近平指導部のハイテク産業振興策「中国製造2025」では米国に依存する半導体の自給率向上をめざす。

SMICは半導体の内製化戦略の中核を担っており、輸出規制は振興策の目標達成の支障となる。

中国製造2025

2015年までに製造業規模世界第一位、世界の製造業大国になり、
ステップ1で、2025年までに、格差縮小、十点突破で製造強国の仲間入りを果たし,
ステップ2で、2035年までに工業化の実現により製造強国の中位レベルに到達する。
ステップ3で、建国100周年の2049年までにイノベーション先導で製造強国の先頭グループに入るとの目標を掲げている。

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国防総省は9月上旬、安保上問題がある企業を並べたEntity ListにSMICを加えるか政権内で議論中だと明らかにしていた。SMICが中国人民解放軍の軍事プロジェクトに深くかかわり、防衛インフラの整備に加わっているのではないかという懸念があるためとしている 。

SMICはこれについて、「当社と中国軍の関係についてのいかなる推測も虚偽の記述であり、誤った告発である」とし、報道にショックを受け、困惑していると述べた。
事業を行う全ての管轄区域の法規制を厳格に順守しているとし、「チップを製造し、民間および商用の顧客と最終製品のためにのみ、サービスを提供している」と述べた。

トランプ政権は、中国軍を支援する中国企業に照準を定めている。

米国企業にも影響が出る。SMICの主要顧客のトップ5には米Qualcommと米Broadcomも含まれる。両社は一部の半導体の生産をSMICに委託しており、短期的に半導体の委託が難しくなる可能性もある。

日本勢ではエッチング装置や成膜装置大手の東京エレクトロンと、洗浄装置大手のSCREENホールディングス などがSMICと取引している。

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