WTO次期事務局長選 内定するも米国の反対で難航

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世界貿易機関(WTO)は、次期事務局長選挙で最終選考に進む候補者をナイジェリアのヌゴジ・オコンジョイウェアラ元財務相と韓国の兪明希通商交渉本部長の2人に絞った。

選考プロセスの最終段階となる第3ラウンドは10月中に始まり、11月6日まで続く。WTOはコンセンサスに基づいて決定を下すが、全会一致での指名を目指す。

2020/10/9 WTO事務局長選挙、韓国とナイジェリアの女性対決に 

局長選出過程を主管しているWTO一般理事会議長は10月28日夜、兪氏に「ナイジェリアのヌゴジ・オコンジョイウェアラ氏が選好度調査で多くの得票があり、オコンジョイウェアラ氏を推戴することにした」と公式通知した。全会一致での指名を目指すため、事実上、兪氏に対して自主的に辞退を勧告する性格を持つ。

BBC放送は、オコンジョイウェアラ氏がアフリカ連合41カ国、EU 27カ国を含めて過半数(83カ国)をはるかに超える104カ国の支持を受けたと報じた。

ロイター通信は、「WTO 25年の歴史上、初めての女性およびアフリカ出身首長が登場する道を開いた」と評価した。

これに対し韓国政府は「兪氏の自主辞退はない。最後まで最善を尽くす」という立場をとる。消息筋は「状況は悲観的ではあるが、米国とEU、中国など強大国間の水面下の協議によって加盟国の支持が変わって、結果が覆される場合もある」と話した。「EUも兪氏でコンセンサスが取られれば拒否しない方針を定めた」と付け加えた。

米国務省は10月25日、在外公館に「駐在国政府の兪明希氏支持の有無を把握し、兪氏支持を勧めよ」という電文を送った。


WTOは10月28日、新事務局長を決めるための非公式会合を開いた。多くの加盟国がナイジェリアのヌゴジ・オコンジョイウェアラ元財務相を推したが、米国が反対を表明したため継続協議となった。

オコンジョイウェアラ氏は世界銀行で専務理事を務め、ナイジェリア外相にも就いた経験から調整力が期待され、EUやアフリカ諸国の支持を広く集め、日本も推している。

しかし、ナイジェリアは中国から多額の経済支援を受けており、米国は中国がWTOで発言力を強めるのを嫌い、オコンジョイウェアラ氏の就任に反対した。

米通商代表部(USTR)は声明で、韓国の兪氏を支持すると表明した。通商交渉に携わった長年の経験から「有能なリーダーになるために必要な能力をすべて持っている」と指摘した。

11月上旬を目指す選出が難航する可能性もある。

付記 WTOは11月6日、当初11月9日に予定していた次期事務局長の選出を協議するための理事会を延期した。



      現職・前歴 1次 2次 最終
Dr Jesús Seade Kuri Mexico 男性 外務次官、WTO事務次長      
Dr Ngozi Okonjo-Iweala Nigeria 女性 財務相、外相、世銀副総裁  
Abdel-Hamid Mamdouh Egypt 男性 弁護士、WTOサービス部長      
Tudor Ulianovschi Moldova 男性 外相、WTO大使      
Yoo Myung-hee  兪明希 Korea 女性 産業通商部通商交渉本部長  
Amina C. Mohamed Kenya 女性 スポーツ・文化相、外相    
Mohammad Maziad Al-Tuwaijri Saudi Arabia 男性 王室顧問(閣僚級)    
Dr Liam Fox UK 男性 貿易相、国防相    

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