英上院、Internal Market Billに反対

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英下院は9月29日、EU離脱に伴って1月末に発効した国際条約「離脱協定」の主要部分を反古にする政府提出のInternal Market Bill を賛成多数で可決した。

2020/9/30 英下院、Internal Market Billを可決 

しかし、英議会上院(貴族院)は11月9日、Internal Market Billに関し、英領北アイルランドの扱いで英政府にEUとの離脱協定を部分的に違反する権限を与える規定を削除する案を433対165で可決した。

与党・保守党は上院で過半数を占めていないが、この日の投票では一部の保守党重鎮も同規定に反対する立場を取った。

ただ、閣僚らは今回削除された規定を今後の立法プロセスで復活させる構え。

国内市場法案の最終的な文言は両院で承認される必要があるが、非公選の貴族で構成する上院(貴族院)は通常、公選議員から成る下院が支持する法案を恒久的に阻止することはない。

通常は上院は政治的な修正はしないので、上院の修正は下院で賛成が得られる。

今回のような場合は、下院は上院の修正を否決し、上院に否決理由を述べて再審議を要請することになる。

それでも両院で合意できなければ、議会法に基づく処理が行なわれる。(1年後にも上院が否決した場合、上院の同意なしで女王の認可を得て法律となる)
実際には、下院が上院の修正を否決して上院に戻した時点で上院はそれに賛成して対決を避けるのが一般的。

付記

12月7日、英下院で審議が行われ(下院通過後に上院で修正され、上下両院での一本化に向けた再審議)、北アイルランドに関する離脱合意の内容で、EU側が国際条約違反に相当するとした(①北アイルランドからその他英国に物品を出荷する際にEUに輸出申告書を提出する、②北アイルランドに関連した取引についてはEUの国家補助金規則に従う)を書き換える箇所を法案から削除する上院の修正案を否決した。

ところが、1日後の12月8日、EU離脱協定を実行に移すための英国・EUの合同委員会は同協定の実施について原則合意に達したとする共同声明を発表した
共同声明では、今回の合同委員会の合意に基づいて英国が「国内市場法」案の第44(
export declarations)、45(State aid)、47項(incompatibility with international or domestic law)を撤廃することも発表された。EUは同法案に離脱協定や国際法に違反する規定が含まれるとして撤廃を強く求めていた。
  https://publications.parliament.uk/pa/ld5801/ldselect/ldeucom/147/14706.htm

噂では、政府はBrexitで合意が行われた場合、離脱法の物議を醸す部分を撤回することを決めており、議会との意思疎通がなかったという。

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上院は一代貴族、世襲貴族、聖職貴族で構成される。

聖職貴族は、国教会の高位聖職者であるカンタベリー大主教、ヨーク大主教、ロンドン主教、ダラム主教、ウィンチェスター主教の5人と、そのほかの21名の教区主教をあわせた計26名。

世襲貴族は1999年のブレア政権の改革で、世襲貴族議員の互選で選ばれる90名に固定された。死亡時には世襲貴族議員の互選で後任が選ばれる。

一代貴族は首相の助言に基づく女王の勅許状によって叙爵される。首相退任時に退任する首相が次の首相に叙爵候補リストを残すケースと、総選挙時に引退を表明した庶民院議員たちを叙するケースが多い。
一代貴族が急増することが懸念されるが、今回、首相交代と総選挙で、24名の純増となり、総数が800人に近づいた。

一代
貴族
世襲
貴族
聖職
貴族
合計
聖職貴族 26 26
Conservative 198 46 244
中立派 157 30 187
Labour 176 4 180
Liberal Democrat 90 3 93
Democratic Unionist 4 4
Green 2 2
諸党 9 9
無所属 42 7 49
議長 1 1
合計 679 90 26 795

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