JNC、有機EL材料事業を韓国SK Materials 主体のJVに 移管 

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チッソの事業子会社JNCは11月24日、有機EL材料事業に関し、開発・販売を新設の子会社に移管するとともに、韓国のSK Materials との間で合弁会社を設立し、新設子会社をJVに移すと発表した。

子会社には製造機能は移管しないとし、製造設備はリースするとしている。製造設備を子会社にリースしたうえで、製造そのものは受託するとみられる。

JNCはSK JNC Japanを設立して有機EL材料事業を移管、この子会社の全株式と、有機EL材料の特許や商標を売却する対価として韓国の新会社SK JNCの株式を取得し、子会社は新会社の傘下に入る。

合弁相手のSK Materialsは半導体、ディスプレイ、太陽電池などの中核素材の生産、販売を主たる事業としており、韓国のパネル大手との関係が深い。

JNCは色の純度や発光効率で世界最高水準の青色発光材料(ドーパント材料、ホスト材料)や電子輸送材料などの有機EL材料を手掛ける。

同社が関西学院大学の畠山琢次教授との共同研究により開発した有機EL材料は、これまでに使用されてきた材料系とは全く異なる新しい構造を特徴とした青色発光材料で 、ホウ素原子を含むヘテロ環構造を主骨格とし、電圧をかけることによって発生する光の波長の幅が従来の材料に比べ狭いことを特徴としている。これにより、発光したエネルギーロスを抑えることが可能となり、低消費電力化を実現できる。

2018年にホウ素系青色ドーパント「DABNA」を上市し、大手ディスプレイメーカーのスマートフォンに採用された。

2018/12/14 JNC、新規有機EL材料を開発

かつての収益源であった液晶事業が赤字に転落するなかで、これに代わるものとして期待されたが、単独では難しいと判断した模様。
有機EL材料の特許や商権と日本の事業を、パネルメーカーと太いパイプを持つSK Materialsに譲渡する。SK Materialsは有機EL材料への参入を検討してきたが、JNCの高い技術力に着目した。

譲渡の対価で新設のSK JNCの49%を取得することで、JNCは引き続き事業に関与する。また、水俣製造所での有機EL材料の生産は、設備をリースしたうえで、受託の形で継続する。

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2011年1月12日、チッソの100%出資で「JNC株式会社」(社名はJapan New Chissoから)が設立され、3月末に親会社チッソから機能材料分野、化学品分野及び加工品分野などの事業継続に必要な土地や設備などの財産譲渡を受けた。

親会社は当面、子会社の株式配当益で補償業務を担い、3年後をめどに株式を他者に全面譲渡、譲渡益を熊本県に納付して補償業務を委ね、清算するという構想であった。

なお、特措法では、「救済の終了」と「市況の好転」をJNC売却の条件としている。

液晶関連材料、電子情報材料を扱う機能材料事業は液晶の好調で2015年3月期には182億円の経常利益を上げた。

しかし、液晶パネルから有機ELパネルへの切り替えが進むなか、中国液晶材料メーカーの台頭でパネルの供給過多の状況が増幅され、減益が続き、2019年3月期には赤字に転落、2020年3月期は更に悪化した。

15/3 16/3 17/3 18/3 19/3 20/3 20/9中
機能材料 182 128 83 26 -28 -31 -9
合計 175 138 75 48 -14 -13 12

2020年9月には、韓国パネルメーカーの液晶パネル事業からの撤退した。

チッソの問題は液晶に代わる収益の柱が見当たらないことで、このままでは賠償金の支払いも難しくなる。

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