OncoImmuneの株主は売上高および一定の規制関連のマイルストン達成に基づいた支払いを受け取る権利を得る。
OncoImmuneは 新型コロナ治療薬「CD24Fc」のほか、がんや自己免疫疾患の治療薬を開発する。
「CD24Fc」を除く事業は、買収完了前にスピンアウトさせ、既存株主が株主となる。Merckも50百万ドルを投じ、この会社の少数株主になる。
「CD24Fc」は重度の新型コロナ患者向けの治療薬で、臨床試験(治験)の中間分析によると、人工呼吸器を必要とする入院患者に対して呼吸不全と死亡のリスクを50%減少させる効果が確認されている。
MerckはOncoImmuneで課題となっていた製造・供給能力を強化する。自社の生産設備の一部を使って、2021年半ばまでに新型コロナ治療向けの増産体制を構築する。
Merckは5月26日にオーストリアのワクチンメーカーのThemis Bioscienceを買収すると発表した。新型コロナウイルスのワクチン開発を加速させるのが狙いで、臨床試験を年内に開始する。
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OncoImmuneの主力製品の新型コロナ治療薬「CD24Fc」は、自然免疫系を標的とするfirst-in-classの組換え融合タンパク質で 、過剰な免疫反応を抑えることで炎症を防ぎ、治療の効果を飛躍的に高めるもの。
Paulson & Kawasaki Nat Biotechnol 2011 may 29
組織障害が起こると放出されるDAMPs(危険関連分子パターン)は、免疫細胞膜上のTLRに結合して活性化させ、NFkBを介して各種サイトカイン(TNF-α、IL-1β、IL-6) 産生を起こす。
CD24抗原はDAMPsを取り込んで、TLRとの結合を減らすとともに、細胞表面蛋白質のSiglecと結合、DAMPからの活性化シグナルを抑制し、過剰な免疫反応を抑える。
CD24Fc はCD24を抗体のIgG1のFc部分とfusionさせたCD24の二量体。 CD24部分が遊離DAMPsおよびSinglec10に競合的に結合することで、初期炎症反応抑制およびT細胞活性化抑制の二つの作用機序を持つ。
同社ではCOVID-19以外にも多くの症状の治療に効果があると見ている。
治験の状況は下記の通り。
COVID-19の入院患者で人工呼吸器を必要とした重症患者の50%超に対し、呼吸器の疾患や死亡のリスクを減らしたことが実証されている。
健康なボランティアを対象とした第I相臨床試験では、CD24Fcの安全性が実証されただけでなく、複数の炎症性サイトカインの発現を抑制する生物学的活性も実証された。
造血幹細胞移植(HCT)を受けている白血病患者を対象とした第II相臨床試験では、CD24Fcの3回投与により、免疫系の過剰反応によって引き起こされる重度(グレード3〜4)の急性移植片対宿主病(GVHD)が効果的に排除された。
GVHDは、ドナー(臓器提供者)の臓器が、免疫応答によってレシピエントの臓器を攻撃することによって起こる症状の総称
(ドナーの移植片が攻撃されることによる「拒絶反応」の逆)
HIV / SIV感染の前臨床モデルでは、CD24Fcが複数の炎症性サイトカインの産生を改善し、Tリンパ球の喪失と機能的なT細胞の枯渇を逆転させ、複数の臓器の白血球浸潤を減少させることを示した。
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