米最高裁、コロナ対策の教会での集まり制限は憲法違反と判断

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米最高裁は11月25日、New York州がコロナ対策として宗教施設での集まりで人数制限したことについて、カトリックとユダヤ教の教会がこれを差し止めるよう求めた件で、教会側の主張を認めた。

5対4の判断で訴えを支持した。亡くなったリベラル派のGinsburg 判事の後任にトランプ大統領が保守派のBarrett判事を指名し、与党共和党が強行承認したのがたちまち効果を表した。


New York州のAndrew Cuomo知事は10月6日、コロナが蔓延する特定の地域(Brooklyn 近郊を含む)で非必須事業の閉鎖を指令し、宗教施設での集まりを、ある地域では10人、別の地域では25人に制限した。

これに対し、Roman Catholic の教区と2つの正統派ユダヤ教会派が、制限は憲法修正第一条の信仰の自由に違反するものであり、食品店などよりも厳しい制限だとして訴えた。

連邦地裁はこれを却下、控訴裁も却下した。


コロナ対策としての宗教サービスの制限については、既に連邦最高裁が2回、判断している。

カリフォルニア州による制限については5月29日、ネバダ州による制限については7月24日、最高裁は教会による訴えを却下した。

いずれも5対4の判断で、リベラルのRuth Bader Ginsburg が健在で、当時は保守派 5 対リベラル派 4 であったが、保守派のJohn Roberts 長官が合憲とみなした。

今回、Ginsburg 判事の死去、Barrett判事の指名で、保守派 6 対リベラル派 3 となり、保守派のJohn Roberts 長官は従来と同じく合憲とみなしたが、前2回と逆の判断となった。

多数派は、当該規制が過去に最高裁に持ち込まれたいかなるケースと比較しても格段に厳しい内容だったなどとし、感染拡大が深刻な地域でもここまで強力な規制は導入されていないとの見解を示した。

Neil Gorsuch 判事は、「酒屋やバイク店の再開を認めながら、教会やシナゴーグ、モスクを閉鎖するという色分けされた行政命令を合衆国憲法は許容しない」と述べた。

〇:合憲X:違憲

 性別 人種背景 就任日 判断傾向 5/29
California
7/24
Nevada
11/26
New York
Clarence Thomas 男性 アフリカ系 1991年10月23日 保守 X X X
Ruth Bader Ginsburg 女性 ユダヤ系 1993年8月10日 リベラル
Stephen Breyer 男性 ユダヤ系 1994年8月3日 リベラル
John Roberts  (Chief) 男性 白人系 2005年9月29日 保守
Samuel Alito 男性 イタリア系 2006年1月31日 保守 X X X
Sonia Sotomayor 女性 ラテン系 2009年8月8日 リベラル
Elena Kagan 女性 ユダヤ系 2010年8月7日 リベラル
Neil Gorsuch 男性 白人系 2017年4月10日 保守 X X X
Brett Kavanaugh 男性 白人系 2018年10月6日 保守 X X X
Amy Coney Barrett 女性 白人系 2020年10月26日 保守 X
結果 5 5 X 5

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