中国核工業集団有限公司(CNNC)は2020年9月4日、建設中の福清原子力発電所5号機(115万kW)が燃料の初装荷を始めたと発表した。同月10日には177体すべての燃料集合体の装荷が完了した。
10月21日の午後3時過ぎに初めて臨界条件を達成、正式に運転可能な状態に移行、年末までの営業運転開始を目指す。
中国核工業集団有限公司(CNNC)と中国広核集団有限公司(CGN)が開発した第3世代設計のPWR型原子炉 「華龍一号」(Hualong One) で、運転開始する第1号となる。
両者の「ACP1000」と「ACPR1000+」を統合して開発され、主要技術と機器の知的財産権は中国が保有する。
「華龍一号」は、これを含め、国内で5基、パキスタンで2基を建設中で、更にパキスタンでもう1基の建設を決めている。
福建省福清原発
5号機 115万kW 年内稼働 6号機 115万kW 建設中 江西省防城港原発 3号機 118万kW 建設中 4号機 118万kW 建設中 江西省漳州原発 1号機 115万kW 2019/10 着工 2号機 計画
更に4基の建設が9月に認可された。
中国国務院の常務会議は2020年9月2日、新設プロジェクト2件を認可した。
海南省の昌江原発第2期(原子炉2基)および浙江省の三澳原発第1期(同2基)で、いずれも「華龍一号」を採用する。両プロジェクトの投資額は合計700億元(約1兆872億円)を超える。
常務会議では、原発建設の積極的かつ着実な推進がエネルギー供給能力を下支えすると同時に、温室効果ガスの排出削減のために重要であるとの認識が示された。
昌江原発第2期は、国有発電大手の中国華能集団が51%、中国核工業集団が49%を出資する。
これにより、華能集団は核工業集団、中国広核集団、国家電力投資集団に続いて加圧水型軽水炉の建設資格を獲得した4番目の発電企業グループとなった。
中国はパキスタンのチャシュマでPWR原発4基を稼働させているが、カラチ原発で「華龍一号」を2基建設中である。更に、チャシュマ原発5号機の建設を決めた。
カラチ原発 1号機 Candu型加圧重水炉 13.7万kW 1972年営業運転開始 2号機 華龍一号 110万kW 2015着工、2021年商業運転予定 3号機 華龍一号 110万kW 2016着工、2022年商業運転予定 チャシュマ原発
(Chashma)1号機 CNP-300 PWR 32.5万kW 2000年9月営業運転開始 2号機 CNP-300 PWR 32.5万kW 2011年5月営業運転開始 3号機 CNP-300 PWR 34万kW 2016年末 営業運転開始 4号機 CNP-300 PWR 34万kW 2017年6月営業運転開始 5号機 華龍一号 100万kW 2017年11月建設に関する協力協定を締結
「華龍一号」は、英国でEDFエナジー社が建設するブラッドウェルB原子力発電所(2基、合計出力220万kW)にも採用が決まっている。
中国の習近平国家主席は2015年10月21日、フランス電力公社(Électricité de France:EDF)がイングランド南西部サマセット州Hinkley Pointで進める新規原子力発電所Hinkley Point Cの建設プロジェクトに33.5%を出資することで正式に合意した。中国広核集団(CGN)が33.5%を出資、残りはEDFが出資する。(その後、大幅なコスト増に直面している。)
中国はまた、EDFがイングランド東部のサフォーク州 Sizewell とエセックス州 Bradwellで予定する新規原発建設計画にも参画することで合意した。Sizewellの新原発(2020/5 申請)は中国から20%の出資を受け入れる。一方、Bradwell新原発は資金の2/3 を中国から受け入れるとともに、欧米で初めて中国製の原子炉を採用する。
2015/10/28 中国、英国の原発に出資、中国製原発も導入
英国の原子力規制庁(ONR)は2020年2月13日、「華龍一号」の英国版(UK HPR1000)で実施中の包括的設計審査(GDA)で第3ステップが完了し、最終段階の第4ステップに進展することになったと発表した。これまでところ同設計への設計容認確認書(DAC)発給を阻むような安全・セキュリティ上の根本的欠陥は見受けられない」と結論付けた。
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