現代自動車、ソフトバンクからBoston Dynamicsを買収

| コメント(0)

Hyundai Motor(現代自動車)グループは2020年12月11日、ソフトバンクグループが保有するBoston Dynamicsの株式の約80%を取得すると発表した。取引は2021年6月までに完了する予定。
これにより、現代自動車はスマートモビリティのソリューションプロバイダーとしての変革を進める。

Boston Dynamicsの時価総額は11億米ドルとしており、現代自動車による買収額(80%) は8.8億米ドルとみられる。

グループ各社が次の通り買収に参加する。

現代自動車 30%
現代モービス(自動車部品)20%
現代グロービス(物流会社)10%
鄭義宣グループ会長 20%
合計 80%

ソフトバンクグループでは残る20%を引き続き保有し、パートナーシップを継続する。

ソフトバンクのコメント:

本取引は、当社がグローバルな戦略的持株会社としてポートフォリオのレビューを行い株主価値の最大化を図る中、世界有数のグローバルモビリティ企業であるHyundai Motor Groupをパートナーに迎える時機を迎えたと判断したもの。
同社とのパートナーシップにより商業化がさらに促進され、Boston Dynamicsの次なる成長につながるものと確信。
本取引完了後、約20%は当社が当社100%子会社を通じて保有し続ける。
本取引後もBoston Dynamicsとのパートナーシップを継続することで将来アップサイドに参画していくとともに、同社の成長と商業化に貢献していく。

現代自動車グループは、ロボット市場の成長性を見込み、物流自動化を実現する物流ロボットや、治安や安全などにも向けたサービスロボットへの投資を計画している。
また、身体が不自由な人や高齢者に移動の自由を提供するロボットにも取り組んでいる。さらに、病院での看護や介護向けのヒューマノイドロボットへの進出も検討している。

現代自動車は自動車量技術とロボット工学分野を強化しており、2025年までにロボット工学に最大1.5兆ウォン投資すると発表している。

Boston Dynamicsは2020年6月に商用ロボット「Spot」を発売、電力や建設、石油、ガス、鉱業などさまざまな業界に向けて販売した。2021年にはSpotの製品ラインアップを拡充し、自律性や遠隔検査機能を備えたロボットが加わる。また、ロボットアームの販売も予定している。

ーーー

Boston Dynamicsは1992年、マサチューセッツ工科大学 (MIT)でロボットと人工知能を研究していたMarc Raibert教授がスピンアウトにより設立した。

設立当初は、American Systems Corporationとともに3Dシミュレーションを用いた米海軍用の航空機の発進トレーニングビデオを更新する業務に携わっていた。

2005年にFoster-Miller、NASAのジェット推進研究所、ハーバード大学と共同で四足歩行ロボット BigDog を開発した。

車両が走行できない荒地で、兵士に随伴し物資を運搬するロボットラバを実現することを目指して開発された。150 kgの荷物を運びながら6.4 km/hの速度で兵士に随伴して行動することが可能で、35度以上の傾斜を持つ荒れた地形をも踏破することができる。

四足歩行ロボット Cheetah は、45km/hでのギャロップ走行が可能で、2012年8月に脚を持ったロボットによる陸上移動において世界最速を記録した。

2013年7月には3世代目の人型ロボットAtlasを 、2015年に電気駆動の四足歩行ロボットSpotを公開した。

Boston Dynamicsは2013年12月13日、Googleに買収された。

しかし2016年3月に、Googleが短期的には収益が期待できないとして売却を検討していると報道された。

ソフトバンクグループは 、Google親会社のAlphabet Inc.からのBoston Dynamicsの買収合意について発表した。

パラダイムシフトに関わるテクノロジーへの投資ならびにスマートロボティクスを次の段階へ推し進めるという同社のビジョンに沿ったものとしている。本取引条件の詳細については非公表で、数百億円とされ た。

ソフトバンクは2014年に世界初の感情認識ヒューマノイドロボット「Pepper」を発表以来、ロボティクスソリューションの第一人者としてテクノロジーの発展を推進してきた。PepperとNAOは全世界70ヵ国以上、累計25,000台を超えて導入されている。

福岡ドームではSpot (Boston)とPepper (ソフトバンク) がホークスを応援する場面もあった。

また、この取引の一環として、二足歩行ロボットを開発する日本企業のSchaftを買収することにも合意した。

Schaftは、2012年に東京大学の情報システム工学研究室で設立されたヒューマノイド型二足歩行ロボットの分野における世界的リーダー。危険な場所や被災地、建設現場や製造現場で活用できる二足歩行ロボットの開発を専門としていた。

Googleは2013年にShaftを買収したが、Boston Dynamicsと合わせ、ソフトバンクに売却した。

コメントする

月別 アーカイブ