LG Chem 分割案、米投資ファンドが反対を表明

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2020年11月26日、韓国のLGグループの持ち株会社にあたる「LG」は理事会でグループ企業5社を分離することを決めた。

傘下の企業のうち、下記5社を分離し、新しい持株会社をつくり、傘下に置く。Net Asset Valueの2%に相当するとされる。加えて全体の現金残の9%が移される。

LG商事(LG International Corp) 商社、エネルギー開発
Pantos Logistics Co Ltd. LG商事の物流子会社
LG Hausys Ltd 建築資材などを生産販売
Silicon Works Co Ltd ディスプレー用半導体を設計
LG MMA MMAモノマー(住友化学、日本触媒とのJV)

今回分離する5事業はバラバラで、企業経営上、分離する合理的な理由は全くない。

LG MMAは住友化学と日本触媒とのJVで直酸法MMAモノマーとメタアクリル酸を製造販売する。
LGChem の麗川石化コンビナートの一角で、C4留分のスペントC4からMTBE経由でイソブチレンをつくり、これを原料とする。

Silicon Works はAdvanced Materials の一角である。

簡単に言えば一族内の資産配分ということで、これまでも、総帥には具家の長男がつき、代替わりしたら、経営に携わっていた他の家族には事業を分離して与えてきた。

2018年5月に三代目の具本茂会長が逝去し、養子(二代目の次男の具本綾の長男)の具光謨が四代目会長となり、二代目の三男の具本俊副会長は引退した。

2018/7/7 韓国のLG、具光謨氏が4代目の会長就任 

今回の分離は、引退した具本俊(四代目会長の叔父)への事業譲渡で、具本俊が今回分離する5社の 持株会社のCEOとなる。

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LG Chemは12月1日付で、世界シェア首位のバッテリー部門を分社化して、完全子会社「LG Energy Solution」を発足させた。


2020/9/19 LG Chem、電池部門を分社化

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物言う株主の米投資ファンド Whitebox Advisors LLCは今回の分離は少数株主を軽視した決定として反対し、12月14日付で公開レターを出した。

Spin-Offが少数株主にどんな価値があるか明らかでない。新グループに現金を移す代わりに株主に渡せば、株主へのリターンは原案の2.4%から7.7%に増える。

Spin-Offで株価が上がると思えない。過去3年で資産価値は33%増えたのに、株価は12%下がった。

創業家の相続問題の対策であって、少数株主には何の意味もない。

結論として、この計画は直ちに止めるべきだ。

LGは来春開催の株主総会でグループ分割の承認を得る予定だが、Whiteboxが保有するLG株式は0.6%にすぎず、創業家一族が46%超持つため、このまま決まる可能性が強い。

しかし、国会で多重代表訴訟制(親会社の株主による子会社の役員に対する株主代表訴訟)が通過したことで、ホワイトボックスが6カ月以上LGの株式 0.5%以上を保有すればLG ElectronicsやLG Chemなど子会社の理事陣を相手取り損害賠償訴訟を提起できる。これを口実にLGを攻撃しかねないという懸念が出ている。

この日LGは「今回の分社により電子・化学・通信など他の事業分野に集中できるようになり株主価値が高まるだろう」という公式立場を発表した。

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