大日本住友製薬は12月28日、米国の連結子会社Myovant Sciences(NYSE上場)が、Pfizer Inc.との間で、ゴナドトロピン放出ホルモン受容体阻害剤 Relugolix(一般名)について、がん領域および婦人科領域における米国およびカナダでの共同開発および共同販売に関する契約を締結したと発表した。
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大日本住友製薬は2019年10月31日、米国のRoivant Sciences との間で、戦略的提携に関する正式契約を締結した。
下記のRoivant Sciences子会社5社の株式とヘルスケアテクノロジー等に関わる人材を移管した新会社を取得した。大日本住友製薬は対価として総額30億ドルを支払う。
取得比率 Myovant Sciences Ltd. NYSE上場 53.7% 婦人科および前立腺がん レルゴリクス、MVT-602など Urovant Sciences Ltd. NASDAQ 75% 泌尿器 ビベグロン、URO-902など Enzyvant Therapeutics Ltd. 100% 小児希少疾患 RVT802、RVT-801など Altavant Sciences Ltd. 100% 呼吸器系希少疾患 Rodatristat ethylなど Spirovant Sciences Ltd. 100% 嚢胞性線維症遺伝子治療 SPIRO-2101、SPIRO-2102など
Roivantのビジネスモデルは、ほかの製薬企業が戦略的な理由で開発を中止した化合物を譲り受け、開発を進めるというもの。
レルゴリクスは武田薬品が開発し、Myovantが買い取った。武田薬品は Myovantに 4.33%を出資する。
2019/11/4 大日本住友製薬、Roivant Sciences と戦略的提携、30億ドルを投資
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今回の取引の概要は下記の通り。
・米国およびカナダにおいて、成人の進行性前立腺がんを適応症として米国で承認を取得したレルゴリクス単剤と、
子宮筋腫および子宮内膜症を対象として開発中のレルゴリクス配合剤の開発および販売を共同で行う権利を許諾、
2021 年初めにオルゴビクスの共同プロモーションを開始。
・レルゴリクスおよび配合剤の売上収益はマイオバント社が計上し、利益および開発・販売に要する特定の費用を両社で折半。
・Pfizerに対し、がん領域における北米と一部のアジアを除く地域でのレルゴリクスの販売に関する独占的なオプション権を許諾
・本契約締結の対価
契約一時金として 6 億5千万米ドルを受領
配合剤の米国承認時マイルストンとして2億米ドル、レルゴリクスの前立腺がんと子宮筋腫・子宮内膜症に係る売上収益のそれぞれが 25 億ドルに達するまで段階的に支払われる販売マイルストンを加え、総額で最大 42 億米ドルを受け取る可能性。
・Pfizerががん領域における北米と一部のアジアを除く地域でのレルゴリクスの販売に関するオプション権を行使した場合、
5千万米ドルを受領し、売上収益に対して2桁台のロイヤリティを受領
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Roivant Sciencesの創業者Vivek Ramaswamyはヘッジファンドに勤めている際に製薬会社が多額のコストと時間をかけて開発している新薬を途中でやめてしまう事が多いことを知り、他企業が中断した新薬技術を買い取りロイヤリティの取り決めをした上で新薬を開発するビジネスモデルを思いつき、同社を立ち上げた。
膨大な公開データベースからAIを用いて新薬候補、作用機序、エンドポイントのデータを調べチャートを作る「薬群マッピング」戦略で開発薬を絞込みと商業的実用化の可能性を探る。次に製薬会社と交渉し、契約がまとまると子会社が開発を続行する。
他にもいくつかの医薬品の承認を申請しており、今回、この戦略が成功した。大日本住友製薬もRoivant Sciencesと提携、総額30億ドルを支払ったが、順調に進めば、大きな収益源となる。
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