建設アスベスト訴訟  最高裁で国の賠償責任 初確定

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建設現場でアスベストを吸い込み、肺の病気になった東京などの元作業員らが健康被害を訴えた集団訴訟で、最高裁判所は12月14日付で国の上告を退ける決定をし、全国の集団訴訟で初めて国に賠償責任があるとした判断が確定した。

建設現場で働いていた元作業員や遺族が建材のアスベストを吸い込んで肺がんなどの病気になったとして、国と建材メーカーに賠償を求めた集団訴訟のうち、東京や埼玉などに住むおよそ350人が訴えた裁判では、2審の東京高裁が2018年3月、対策を怠ったとして国に対して22億8000万円余りの賠償を命じた一方、建材メーカーの責任については認め なかった。

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全国で起こされている「建設アスベスト訴訟」で高裁判決は下記の通り。(〇は有罪、Xは無罪、一人親方の〇は補償対象、Xは補償対象外)
メーカーの責任 一人親方への責任
横浜地裁 東京高裁 2017/10 X   労働関係法令が保護対象とする「労働者」には当たらず、国は賠償責任を負わない。
東京地裁 東京高裁 2018/3 X  「健康被害との因果関係が立証されていない」 〇  建設現場で労働者とともに作業に従事
京都地裁 大阪高裁 2018/8 〇  労働安全衛生法には「労働現場で生じる健康障害について労働者以外の保護を念頭に置いた規定がある」
大阪地裁 大阪高裁 2018/9 〇  労働安全衛生法上の保護対象ではないが、国の違法行為があれば保護されるべき
福岡地裁 福岡高裁 2019/11 契約形式に違いがあるだけ
横浜地裁 東京高裁 2020/8 他の労働者と同等であり、国は一人親方にも安全を守る法的義務がある

詳細は  2018/9/5 建設石綿訴訟の控訴審、原告全面勝訴 

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今回、最高裁第1小法廷は裁判官5人全員一致の意見で、国の上告を退ける決定をし、国に賠償責任があるとした判断が全国の集団訴訟で初めて確定した。個人で仕事を請け負う「一人親方」の被害についても国の責任が認められた 。

一方で、元作業員側の上告のうち、賠償額に不服があるとした部分については退け、国の賠償額を22億8000万円余りとした判断が確定した。

建材メーカーの責任(高裁判決のうち、唯一「責任なし」)については、元作業員側の上告を受理し双方の意見を聞く弁論を来年2月25日に開くことを決めた。

弁論は2審の判断を変える際に必要な手続きで、建材メーカーの責任を認めなかった2審の判断が見直される可能性が 強い。


なお、神奈川県内の元建設作業員や遺族らが国と建材メーカーに損害賠償を求めた訴訟の上告審で、最高裁第1小法廷は10月22日、当事者の意見を聞く弁論を開いた。結審し、判決期日は後日指定する。

2020/8/11 建設アスベスト、最高裁弁論へ

この訴訟では、高裁判決のうち唯一、一人親方への責任を認めていないが、 今回と同じ第1小法廷であるため、これが見直されると見られる。

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