米商務省は12月21日、Export Administration Regulationsに基づき、航空宇宙分野などの中国企業58社とロシア企業45社の計103社を新しく軍事 エンドユーザー('Military End User')に指定したと発表した。
リストは発表文に列挙されている。
https://www.commerce.gov/news/press-releases/2020/12/commerce-department-will-publish-first-military-end-user-list-naming
広範囲の米製品・技術を対象企業に 輸出、再輸出、国内移転する場合は許可制とし、規制を強化する。申請は却下される可能性のほうが大きい。
ロス商務長官は、今回の措置について「輸出企業が顧客の中から軍事エンドユーザーを見分けるのを支援する」新たなプロセスが確立されると述べた。
11月に、米商務省が中国もしくはロシアの軍と関係があるとみられる企業のリスト案を作成したとの報道があり、中国は強く反発していた。
最終リストには、草案で名前が挙がっていた中国商用飛機有限責任公司(COMAC)、Arrow Electronicsの香港子会社、Berkshire Hathaway 傘下TTIの香港子会社などは含まれていない。
一方、中国航空工業集団(AVIC)の関連会社7社はリストに名前が残っている。GEとHoneywell InternationalはともにAVICと合弁事業を行っている。ロシアの航空機メーカーのIrkut なども含まれている。
トランプ大統領は退任を前に対外強硬策を相次いで打ち出している。
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米国商務省産業安全保障局(BIS)は2020年4月28日、米国製品(物品・ソフトウエア・技術)の輸出管理を厳格化するルールを2件公表した。
ともに中国、ロシア、ベネズエラへの輸出管理強化を目的としたもので、1つ目は3カ国への輸出に対する管理を「軍事目的」を対象としていたのを「軍事エンドユーザー向け」を追加した。
「軍事目的」であることが明らかでない場合、非軍事目的とみなして輸出する場合があった。今後はリストにあがった企業向けはすべて対象となる。
今回、これに基づく「軍事エンドユーザー」リストを発表した。
追って、ベネズエラ企業も指定されると思われる。
もう1つの措置は、上記の3カ国に限ったものではなく、規制品目リストで国家安全保障上、懸念があると指定された国に対して国家安全保障規制品目を輸出・再輸出・国内移転する場合、民生用途で民生需要者向けであれば事前の許可を不要としていた許可例外を削除した。
いずれも6月29日から施行となる。
2018年8月に成立した輸出管理改革法が、技術の発展に伴い軍事用と民生用の技術の境目が曖昧になる中、重要な技術の国外流出をより厳格に管理することとした。
商務長官は「中国、ロシア、ベネズエラの中には、これまで米国の輸出管理を迂回して、米国の国益を損なおうとした者がいる。われわれは米国の技術が悪人に渡らないよう警戒を続ける」と述べた。
新ルールでは、これら3カ国における軍事用途、軍事エンドユーザーへの輸出許可の手続きを厳格化する。さらに、「軍事用途」の定義を拡大し、管理対象の品目に半導体装置、センサーなどの技術も含めるとしている。
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