韓国科学技術研究院(KIST)は12月24日、生体材料研究センターのKwan Hyi Lee 博士の研究チームがソウル峨山病院のIn Gab Jeong 教授の研究チームと共に、超高感度バイオセンサーと人工知能(AI)を融合させた新たながん診断技術を開発したと発表した。
尿検査だけで20分以内に95.5%の精度で前立腺がんを診断できる技術を開発した。臨床試験を経て、早ければ2022年には商用化される見込み。
米国化学会(ACS)が発行する学術誌「ACS Nano」最新号に掲載された。
Noninvasive Precision Screening of Prostate Cancer by Urinary Multimarker Sensor and Artificial Intelligence Analysis
現在ある前立腺がんの血液検査による診断技術(PSA検診)では精度は30%にすぎない。
PSAの値が基準値以上でも、前立腺の組織を取って詳しく調べると、50~80%は癌が見つからないといわれており、結果的に不必要な検査を受ける可能性がある。
100%に近い診断のためには、侵襲的な(生体を傷つける)組織検査を受けなければならない。
研究チームは、尿内のごく微量のバイオマーカーを検出できる超高感度バイオセンサーを開発した。
バイオマーカーそのものの特性のため、センサーで検出したとしても診断の精度を90%以上に高めるのは難しいが、4種類のバイオマーカー(PSMA, ENG, ANXA3, ERG)を同時に検出し、AIが複合的に分析するようにした。
AIは、患者と一般人が持つ4種類のバイオマーカーの量の差をマシンラーニングで学習した。
研究チームがこの技術を活用し、76人の患者または一般人を対象に尿サンプルを分析した結果、95.5%の精度で患者を識別することに成功した。
次の段階として500人規模の臨床実験を進め、精度をさらに高めて2022-23年に商用化する。
コメントする