トランプ大統領は12月27日(日曜)の夜、オムニバス歳出法案(2021年9月末までの予算)と9千億ドルの新型コロナウイルス追加景気対策予算案の一括法案にサイン、12月29日にも予想された政府機関一部閉鎖を回避した。
大統領は各方面から法案に署名するよう圧力を受けていた。
大統領は下記の声明を発表した。
大統領として、中国ウイルスで引き起こされた困難から国民を守る責任がある。
民主党主導の多くの州で中小企業が倒産している。全員が職に戻るまで私の仕事は終わっていない。
年初に CARES Act が通り大恐慌が避けられた。私の指導下でProject Warp Speedが成功し、ワクチンが予想より早く完成した。
議会に対し、無駄な支出を避け、国民に成人には2000ドル、子供には600ドルを渡すよう、伝えた。
1974年の予算統制法(対象となるプログラムの完全な目的または範囲を実行する必要がないと判断した場合はいつでも取消を求めることが出来ると規定)に基づいて議会に多くの取消しを求めている。
今回、多くの無駄を取り除くようにとのメッセージを添えて法案にサインする。
月曜に下院は個人への支払いを600ドルから2000ドルに増やす法案を投票する。(ペロシ下院議長が決めており、大統領に共和党議員に賛成させるよう求めている。)
議会は、アンフェアにも国民の犠牲に置いてBig Techを利するSection 230 を再検討し、取り止めるか、大幅変更することを約束した。通信品位法230条はインターネット企業がホストするコンテンツに対する責任からインターネット企業を保護するもので、大小のインターネット企業が長年にわたってオンラインビジネスを成長させるための扉を開いたと広く評価されている。
「双方向コンピューターサービスの提供者や利用者は、他のコンテンツ提供者が提供した情報の発行者や表現者として扱われないものとする」としており、編集責任を免除しているので、コンテンツについて訴訟を起こされるリスクがない。アカウント削除についても責任を問われない。
大統領はツイッターで述べている。(ツイッターが大統領の投稿に事実誤認の疑いがあると注意喚起したことに関し、批判を強めている。)
セクション230は、米国から 「ビッグテック」への責任保護の贈り物(米国の企業だけに与えられる企業助成!)であり、私たちの国家安全保障と選挙の完全性に対する深刻な脅威です。私たちがそれを許すならば、私たちの国は決して安全でも安心でもありません......」
また、下院と上院は、今回の大統領選挙で発生した多くの不正投票に強く対応すると約束した。
上院は、個人への2000ドルの支給、230条の撤廃、不正投票の調査を始める。Big Techの保護はやめろ、不正投票は無くせ!
私は米国民のための戦いを止めない。
付記
米下院は12月28日、9000億ドルの新型コロナウイルス対策に盛り込んだ家計への600ドルの現金給付案を、2000ドルに積み増す単独法案を賛成多数で可決した。
共和党 民主党 無所属 合計 賛成 44 231 275 反対 130 2 2 134 棄権 21 21 合計
195 233 2 430
トランプ大統領は12月27日夜、オムニバス歳出法案と9千億ドルの新型コロナウイルス追加景気対策予算案の一括法案にサインしたが、その際、現金給付を1人最大2000ドルに増額するよう改めた。
民主党も「これまで一貫して大型の現金給付を求めてきた」(ペロシ下院議長)などとトランプ氏に同調していた。
上院は共和党が多数派で、増額法案の通過のメドはたっていない。
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米国の大統領と議会の争いが続き、混乱が続いていた。トランプ大統領による国民を犠牲にした「いやがらせ」である。
大統領はこれまで、法案にサインしないと主張していた。経緯と、法案にサインしない場合の今後の予想を一旦ブログに載せていた。
事態 | トランプ大統領 | ||
2020/12 | 21 | 米下院と上院、オムニバス歳出法案(2021年9月末までの予算)と9千億ドルの新型コロナウイルス追加景気対策予算案の一括法案を可決 | |
22 | 法案の修正を求め、現行案のままなら署名を拒否すると表明 | ||
23 | 2021会計年度の国防予算の大枠を定める国防権限法案に拒否権を発動 | ||
24 | 議会、一括法案を正式にWhite House に送付 | (日曜を除く10日以内に、署名か、拒否権行使) (なにもしなければ、自然成立) |
|
24 | 下院民主党、現金給付を2000ドルに増やす改正案を満場一致で通そうとしたが、共和党が拒否。 Pelosi 議長、12/28の下院議決を検討。「大統領が本気なら、共和党に反対をやめさせろ」 |
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26 | 追加景気対策予算の未成立で、①失業保険受給期間を13週間延長する処置、②自営業者にも失業給付を与える特例が期限切れ、1200万人分が失業保険受給資格を失う。 | 家計への現金給付増額(600ドル→2000ドル)を求め、法案署名拒否を改めて表明 | |
(予定・予想) | |||
28 | 2021会計年度「つなぎ予算」期限切れ 議会、新たな「つなぎ予算」 |
大統領、「つなぎ予算」も認めない可能性 |
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29 | 「つなぎ予算」なければ、連邦政府一部閉鎖 | ||
31 | 追加景気対策予算の未成立で、家賃滞納者の強制退去の猶予、中小企業の雇用維持策が失効 | ||
2021/1 | 3 | 現議会 閉会、ペンディングの法律は全て廃案 新議会発足 |
大統領が署名も拒否権行使もしなければ、未決法案は全て廃案になる。 |
6 | 連邦議会で大統領選挙の選挙人の投票証明書の集計、大統領・副大統領の当選宣言 | 共和党議員に反対するよう指示 | |
20 | 新大統領就任式 | トランプ大統領就任式計画 Donald J. Trump 2nd Presidential Inauguration Ceremony |
新型コロナウイルス対策追加予算は下記の通りとなった。
第1弾:
トランプ大統領は3月6日、議会上下両院が可決した新型コロナウイルス対策用の83億ドルの緊急補正予算法に署名し、同法が成立した。
第2弾:
トランプ米国大統領は3月18日、議会が可決した第2弾の新型コロナウイルス対策法案(「家族第一・コロナウイルス対応法」1929億ドル)に署名し、同法が成立した。
第3弾:3月27日に議会は第3弾の2兆ドル規模の景気刺激策の法律(Coronavirus Aid, Relief, and Economic Security Act=CARES Act)を通した。
第3.5 弾
トランプ米政権と与野党の議会指導部は4月21日、4840億ドルの新型コロナウイルス対策で最終合意した。第3弾の対策の補充で、COVID-19 3.5 relief packageと呼んでいる。
2020/4/24 米国で4800億ドルの3.5次対策で合意、更に第4次対策を検討
第4弾 今回、9000億ドル
2020/12/23 米国の2021会計年度予算案と追加経済対策案、ようやく可決、政府機関閉鎖をぎりぎりで回避
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