日亜化学工業(徳島県阿南市)は2020年12月、新型コロナウイルスの不活化効果を持った深紫外LEDを開発したと発表した。
波長280ナノメートル(nm)、光出力70ミリワット(mW)の深紫外LEDである。
深紫外光は波長が200~350nmの光を指す。
最も不活化効果が高いのは260nmの波長とされているが、波長が短いと光出力が低下し、深紫外LEDの寿命が短くなる。
(紫外線LEDは、波長が短くなると出力、寿命等の性能が低下し、電力変換効率が極端に低くなる特性を持つ。)
寿命を長くするため、波長を280nmとすると、殺菌効果は約60%に落ちてしまう。
そこで、波長を280nmとし、光出力を70mWまで高めると、260nmの波長と同程度の不活化効果があることを確認した。長寿命化にもつながる。
波長 光出力 殺菌効果 推定寿命 理想品 260nm 100% 日亜品 265nm 35mW 約95% 約2千時間 280nm 35mW 約60% 約2万時間 今回開発品 280nm 70mW 100% 約2万時間
この深紫外LEDを12個使った「ハンディUV照射機」を試作し、徳島大で実験すると、ウイルスから5センチの位置から30秒間照射したところ、99.99%不活化すると確認した。
(経済産業省は、除去効果について99.99%以上の感染価減少率を目安として有効性を判断している。)
感染症防止対策として推奨されている手洗い等の殺菌効果は、
・流水で手洗いを行った場合は、15秒で99%程度、
・一般的な消毒用アルコール(エタノール濃度77~81%)を用いた場合は、30秒で99.99%
とされているが、時間や手間を要する。
深紫外LEDを用いることにより、短時間で手間をかけることなく高い殺菌効果が期待できる。
既に量産体制を整え、空気清浄機やエアコンなどへの応用が期待できるとしている。
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