EUは1月29日、輸出の透明性を高めるためだとして、域内の工場で生産されたワクチンを輸出する際、事前申告と許可を必要とする措置を導入すると発表した。
「透明性・委任メカニズム」 Transparency and authorisation mechanism for exports of COVID-19 vaccines
対象は、EUが事前購入契約を締結している企業からの輸出に限定される。
この措置は、1月30日からことし3月末までの時限的なもので、ワクチンの公平な分配を目指す「COVAXファシリティ」と呼ばれる国際的な枠組みなどへの供給は例外だとしている。
欧州委員会が当初発表した「透明性・委任メカニズム」では、北アイルランドがEUから英国にワクチンを運ぶ「裏口」にならないよう、北アイルランド議定書16条を発動すると記されていた。
議定書では、EUから北アイルランドへの輸出はチェック無しで行われる。
但し、16条で、問題がある場合は双方が一方的にこれを中止できる。Northern Ireland Protocol Article 16
allows the EU or UK to unilaterally suspend aspects of its operations if either side considers that aspect to be causing "economic, societal or environmental difficulties".
EUは、この措置はワクチン確保のために「正当性」があると説明していたが、北アイルランドは英国のワクチン接種事業を通じてワクチンが供給されているため、16条の発動が同地域に直接の悪影響を与えることはないと考えられている。
欧州委員会は英国からの「離脱の取り決めに反する」との批判を受け、16条は「発動しない」と発表。新たな「透明性・委任メカニズム」を30日にも公開すると述べた。
世界保健機関(WHO)は、「ワクチンの公平な分配を妨げうる」と批判した。原材料調達から接種までの複雑なサプライチェーン(供給網)が乱れかねないと指摘した。
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