米Merck、ワクチン開発中止

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米国のMerck (米加以外での社名はMSD : Merck Sharp and Dohme)は1月25日、同社のCOVID-19ワクチン(V590 と V591) の開発プログラムを打ち切ると発表した。
2つの新型コロナ治療薬の開発に集中する。

2種のワクチンは、Phase 1の臨床試験で自然感染や既存のワクチンと比べ、免疫反応が劣るとデータで示された。

開発中止となるワクチン候補は、Merckのエボラ出血熱の予防接種技術を用いた「V590」 (「国際エイズワクチン推進構想(IAVI)」との協業)と、欧州で使われている「はしかワクチン」を基にしたThemis社の「V591」 で、Merckは2020年5月26日、COVID-19ワクチンを開発しているオーストリアのThemis Bioscience社を買収すると発表した。

Developer/manufacturer Platform Type doses Timing Route Phase
1 1/2 2 3
Merck/ IAVL

V590 Replicating Viral Vector Replication-competent VSV delivering the SARS-CoV-2 Spike 1 IM
Institute Pasteur/Themis/Univ. of Pittsburg CVR /Merck V591 Replicating Viral Vector Measles-vector based 1 or
2
0, 28 days IM

一方、2つの新型コロナ治療薬、MK-7110 MK-4482の開発に集中する。

うち1つの治療薬「MK-7110」(旧称CD24Fc) は、バイオ医薬品会社OncoImmuneが開発したもの。

Merckは2020年11月23日、株式非公開のバイオ医薬品会社OncoImmuneを425百万ドルの現金前払いで 買収すると発表した。2020年末までに買収を完了する。
OncoImmuneの株主は売上高および一定の規制関連のマイルストン達成に基づいた支払いを受け取る権利を得る。

OncoImmuneは 新型コロナ治療薬「CD24Fc」のほか、がんや自己免疫疾患の治療薬を開発する。

「CD24Fc」は、自然免疫系を標的とするfirst-in-classの組換え融合タンパク質で 、過剰な免疫反応を抑えることで炎症を防ぎ、治療の効果を飛躍的に高めるも

2020/11/28 米メルク、バイオ医薬品会社OncoImmuneを買収、新型コロナ薬候補を取得

Merckは2020年12月23日、開発中の新型コロナウイルス治療薬「MK-7110」 6万~10万回投与分を3億5600万ドルで供給する契約を米政府と結んだと発表した。
米当局から緊急使用向けの承認が受けられた場合、2021年6月末までに最大で10万回分の出荷を目指す。

新型コロナで入院中の重症患者を対象としたこれまでの臨床試験(治験)で、この薬を投与した患者グループは偽薬と比べて病状の改善や死亡リスクの低下が認められた。


MK-4482 (molnupiravir)はRidgeback Bioと共同で開発中で、現在 Phase 2/3 臨床試験中。体内でウイルスの増殖を抑える経口薬で、感染患者の早期回復や重症化防止への効果を期待している。

経口薬のため、実用化すれば患者が自宅で服用できる利点がある。

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