米議会、予算決議案可決、1.9兆ドル刺激策へ前進

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米連邦議会上院は2月5日、今会計年度予算の修正の大枠となる予算決議案をハリス副大統領の決定票で51対50の賛成多数で可決した。バイデン大統領が提案した1兆9000億ドル規模の経済対策案が実現へと前進した。

賛成 反対 合計
民主党 48 48
民主系無所属 2 2
共和党 50 50
合計 50 50 100
副大統領
(上院議長)
1 1
再計 51 50 101

下院はこの前に可決していた。下院(未定2)

賛成 反対 棄権 欠席 合計
民主党 219 1 2 222
共和党 208 3 211
合計 219 209 3 2 433

通常、上院の決議は野党のフィリバスターを避けるため、60票の賛成が必要だが、予算決議の形をとることで単純過半数で通すことができる。上院では50/50の場合のみ、上院議長を兼ねる副大統領が投票する。

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バイデン(次期)大統領は1月14日、1兆9千億ドル(約197兆円)規模の追加経済対策案American Rescue Plan を発表した。

2021/1/18 バイデン次期大統領、1兆9千億ドル規模の追加経済対策案を発表

共和党はバイデン大統領の1兆9000億ドル規模の経済対策に反対、6180億ドルの経済対策を提案した上院の共和党10議員がバイデン大統領と話し合う予定であった。

しかし、米議会上下院の民主党指導部は2月1日、1兆9000億ドルの予算措置を提出した。

民主党は、バイデン大統領が新型コロナウイルス追加経済対策を巡り共和党上院議員と協議を行う前に、民主党だけでの法案可決を可能にする措置に踏み切った。
Chuck Schumer上院院内総務は、
「民主党は共和党上院議員の提案や意見を歓迎する」とした上で、「米国をこの緊急事態から脱出させるには規模が不十分で、範囲が狭すぎるような対策案は受け入れられない」と述べた。

予算措置を活用することで、上院で60票の賛成ではなく、財政調整措置(reconciliation)と呼ばれる手続きを通じて過半数の支持で法案を通過させることが可能になる。

トランプ時代に2018会計年度(2018年9月末まで)の予算はこの方法で成立した。

2017/10/24 米上院、下院に続き新年度の予算決議を可決

2021会計年度(2021年9月末まで)の予算は既に通常の議決で通っている。上院も92票の賛成で通った。

これまでの新型コロナウイルス感染拡大の影響に対応する数度の追加経済対策はすべて通常の議決で通っている。(途中では民主党の反対で長く棚上げになっていた。)

2020/12/23 米国の2021会計年度予算案と追加経済対策案、ようやく可決、政府機関閉鎖をぎりぎりで回避

今回の経済対策は、共和党の反対で通る可能性がないため、年度予算ではないが、例外的に予算決議案を通じて、民主党の賛成多数で通す。

野党の反対が多い議案の場合、両院で過半数を占めて初めて実施できる。民主党は上院で50票だが、副大統領の1票を含めて過半数を占める。

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通常のやり方では60票の賛成がないと予算が決まらないことになる。このため、 Congressional Budget Act of 1974 が成立した。

予算決議案

連邦歳入総額、歳出総額、財政赤字(黒字)額を示した上で、国防、農業、エネルギー等20の政策分野の歳出上限額を規定するほか、当該年度以降の複数年度の財政見通しを示すもの。大統領に送付されず法的拘束力を有するものではない。

予算決議案の審議時間が50時間に限られているためフィリバスターを回避できる。

予算決議案が成立すれば、財政調整法を審議する。

予算決議に各委員会への財政調整指示(歳入、歳出、財政赤字、公的債務上限を変更するために既存の法律を改正する指示)が含まれると、各委員会はこの指示を受けて財政調整法案を策定、策定された法案は予算委員会でまとめられ、一つの包括的な法案として議会で審議され、両院の本会議で可決、大統領の署名を経て成立。

審議時間が20時間に限られているため、上院でのフィリバスター財政調整法には適用されない。

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