英政府は2月4日、新型コロナウイルス感染症のワクチン2種類を併用した場合、同じ種類を2回接種するよりも高い免疫を得られるかどうかなどを判断する臨床試験(治験)を始めたと発表した。
同じワクチンを2回接種する前提で開発されているが、2回目に他社品を接種しても効果に問題がないか検証する。
Pfizer(A) と AstraZeneca(B)について、A→B、B→A、A→A、B→Bの組み合わせを、4週(28日)間隔と12週間隔で接種する。
合計8種類をテストすることとなる。
目的はワクチン供給に支障が出た場合のsafety net をつくることにある。
EUは1月29日、輸出の透明性を高めるためだとして、域内の工場で生産されたワクチンを輸出する際、事前申告と許可を必要とする措置を導入すると発表した。供給面から、現在の同じワクチンの2回接種が出来ない可能性は十分にあり、このテストは必要とみられている。
1年以上かける治験だが、夏ごろには初期結果が出る見通し。
各社のワクチンの生産能力が異なるため、今後世界中でワクチンを接種する場合に、同じワクチンの2回接種がうまくいかない可能性が強い。
今回のテストが成功すれば、非常に役に立つと見られている。貧困国・低所得国にワクチンの供給を行うWHO主導の「COVAX ファシリティー」も強い関心を持ち、英政府にコンタクトした。
英政府はJohnson & Johnson と Novavax とも本件で協議をしているが、ワクチンの数が増えると組み合わせは多数になり、管理できない。当面は上記の組み合わせでテストを実施する。
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2種類のワクチンの接種は他に例がある。
ロシア国産の新型コロナウイルスのワクチン「Sputnik V」を開発したGamaleya 国立疫学・微生物学研究所とAstraZenecaは2020年12月21日、ワクチン開発の協力に関する覚書を交わした。
試験 | Developer/manufacturer | Platform | Type | doses | Timing | Route | 承認 | |
英 | BioNTech / Pfizer | RNA | 3 LNP-mRNAs | 2 | 0, 28days | IM |
UK 2020/12/2 |
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露 | University of Oxford/AstraZeneca | Non-Replicating Viral Vector | ChAdOx1-S | 2 | IM |
UK 2020/12/30 |
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Gamaleya Research Institute (ロシア) |
Non-Replicating Viral Vector | Adeno-based | 2 | 0, 21 days
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IM |
Sputnik V |
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